コラム

 公開日: 2015-10-02 

マナーうんちく話1057《武士とは一味異なる江戸庶民のマナー》

今まで江戸時代の武士やその妻たちのマナーに触れて参りましたが、当時の人口の9割を占める一般庶民はどうでしょうか?

一般庶民には「通礼」と言うマナーが存在していたようです。

庶民は武士と異なり権力も無ければ、安定した収入も有りません。
身分による武士との差別も多々ありました。

だから、武士のようにステータスのための礼儀作法と言うより、弱者同士が互いに、より良く生きるために助け合うためのマナーが必要になります。
いわゆる生活の知恵です。

しかし、一部金持ちの商人のように上流を目指すものは、テレビドラマでも見られるように「武家奉公」して、キチンとした礼儀作法を身に付け、嫁入り道具にしたようです。

それほど武家社会は礼儀作法に厳しかったということでしょう。
但し、同じ武士でも下流階級は食べるのが精一杯だったようです。

特に江戸時代のマナーは、公家社会における「有職(ゆうそく)」と、武家社会の「故実(こじつ)」の格式ばったマナーがそれぞれの世界に存在し何かと複雑です。

以前、忠臣蔵のお話しを例にとりましたが、この場合は武士が公家を接待するので、有職と故実の両方のマナーに精通しなければいけないわけです。

これに比べれば、庶民は権力も財力も無いけど気楽です。
そして権力も財力も無いからこそ、色々と助け合い、知恵を出し合います。

加えて、他者に対して迷惑をかけないことに重きを置くわけですね。
今で言う、公共道徳等と言うものが目覚めて来るわけです。
これが、マナーうんちく話でも取り上げている「江戸しぐさ」ではないでしょうか。

ただ、江戸しぐさは江戸時代から存在していたものではありません。
現代人によって名づけられた固有名詞です。

代表的な江戸しぐさは既に、このコラムでも既に取り上げていますが「傘かしげ」「こぶしこしうかせ」等であり、これらがテレビや雑誌に紹介されて、急激に江戸しぐさのファンが増えてきた感があります。

家族、地域、学校、職場等の絆の希薄化、思いやりや我慢や感謝の心が失せた今、江戸時代からの遺伝子が蘇ったのでしょうか?

そして江戸しぐさは書面による公式記録としてではなく、口頭で伝えられていたようですから、どれ位の信ぴょう性があるかはよく解りません。

しかし、現代において日常生活やビジネスシーンにおいても参考になる点は多々あります。

個人的には、欧米から輸入されたマナーやコミュニケーションに関する書物よりは、はるかに魅力を感じています。

なぜなら、神様(神道)・仏様(仏教)の国で、四季が豊かで、平和な国に一番似合うからです。

なお、詳しくは「マナーうんちく話《江戸しぐさ》」でご覧ください。

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マナー講師 平松幹夫

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