コラム

 公開日: 2014-11-11 

マナーうんちく話829《「木枯らし」と「こたつ開き」》

晩秋から初冬にかけて吹く、北寄りの風速8m以上の風を「木枯らし」と言いますが、まさに冬型の気圧配置を実感する現象です。

そして、その年に最初に吹く木枯らしを「木枯らし一号」と呼び、秋の終わりと冬の到来を告げる風物詩になっています。

毎年、関東(東京)と関西(大阪)では発表がありますが、今年は10月27日でした。

只今紅葉前線が再接近しており、山々の木々は赤や青や黄色にお洒落しておりますが、木枯らしが吹き荒れるたびに、木々は葉を落とし、「山装う頃」から「山眠る頃」に移行するわけですね。

しかしこれは決して悲しいことではありません。
山の木々が葉を落とし深い眠りにつくのは、動物の冬眠と同じように、春を迎える準備のためです。

そう思うと、赤や黄色の葉がひらひらと舞い散るのを見て、感傷的になるのではなく、無事任務を終えた紅葉にエールを送りたくなりますね。

そして木枯らしが本格的に吹き、朝夕の冷え込みが厳しくなってくると、暖房器具の出番になります。

夏になると「海開き」とか「山開き」があるように、この頃になると、その年に初めて炬燵を使用する「炬燵開き(こたつびらき)」があります。

立春や立冬の「立」は「始まる」と言う意味がありますが、山開きや海開きや炬燵開きの「開く」には「始める日」と言う意味が込められています。

その炬燵開きですが、今年はいつかご存知でしょうか?
以前にも触れましたが「イノシシ」は火を避ける動物とされていますので、旧暦10月(新暦11月)の最初の亥の日が江戸時代から続く炬燵開きの日です。

ところで江戸時代は「士農工商」という身分制度があり、武士と庶民では生活レベルがかなり異なります。

身分と収入が保証されている武士は質の高い生活が送れますので、旧暦10月の最初の亥の日に炬燵開きをしますが、一般庶民はそれより10日余り遅れた第2の亥の日になります。

つまり、炬燵に必要な炭を少しでも倹約するために、庶民は旧暦10月の第2亥の日が炬燵開きになるわけです。

今年は旧暦10月の第一亥の日は11月の12日で、第二亥の日は24日ですが、いずれも炬燵を出すには丁度良い日で、この日に炬燵開きをすれば火災除けになると言われています。
縁起を担がれる方にはお勧めです。

何もかも複雑多様化した現代では暖房の取り方も様々ですが、当時は衣類も質素で住環境もお粗末だったので、あまり選択肢はありません。

決められた日に、決められたことを、みんな揃ってする。
だから、無用な争いごとも無かったのかもしれませんね。

何もかも便利になり、物質的に豊かになろうとも、炬燵という暖房器具には、どことなく人の暖かさが感じられます。

無縁社会、核家族化、孤独等のキーワードが氾濫する中、家族が炬燵を囲み、距離を縮める事により、暖かいコミュニケーションに花を咲かせ、団欒の一時を過ごすことができます。
改めて炬燵の持つ魅力を見直したいものですね。

また、暖房器具が活躍するようになると火災が発生しやすくなります。
自助、共助、公助の精神も大切ですが、その基盤は常日頃の良好な人間関係にあると考えます。
特に夫婦、家族、そして向う三軒両隣の絆作りは不可欠です。

そのためには互いにマナーの根源を成す「感謝」「尊敬」「思いやりの心」を大切にし、素敵に発揮することです。

この記事を書いたプロ

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マナー講師 平松幹夫

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