コラム

 公開日: 2014-10-14 

マナーうんちく話817《菊は本当に葬儀の花なの?》

菊の花が咲く頃で、七十二候では「菊花開」です。
春は「百花繚乱」と言われる位沢山の花が咲きほころびます。
初夏から秋にかけてもしかりです。

しかし、秋から冬へと移行するこの時期からは急に花が少なくなります。
花が少なくなる時期に香りと共に元気良く咲く菊は昔から大変重宝され、まさに秋を代表する花であり、桜と共に日本を代表する花でもあります。

中国でも、梅、竹、蘭とともに「四君子(よんくんし)」の一つとされ重宝されていたのが、奈良時代に日本に伝来したと言われています。

それ以来、菊は日本にすっかり根付き、皇室の紋章にもなっていますし。また競馬でも「菊花賞」があり、さらに50円硬貨にも描かれています。

このコラムでも何度も取り上げましたが、日本の五節句の中でも一番格式が高い節句は、縁起の良い陽の数字が重なる9月9日の「重陽の節句」ですが、別名「菊の節句」です。

新暦の9月9日はまだ暑く、菊の花はお目見えしませんが、旧暦ですと丁度今頃が旬です。丹精込めて育てた我が家の菊も見事な花を咲かせてくれました。

そして、日本には菊にちなんだ風習が沢山存在します。
漢方にも用いられますが、古くから邪気を払い不老長寿が叶うとされている花ですからなんとなく頷けますね。

平安貴族は日本酒を入れた杯に菊の花を散らして浮かべ、長寿を願い、和歌を詠んだと言われています。

また、菊の花を綿で覆い、露で濡れた菊の花の香りを映し、その綿で顔や体を拭いたら若返ると言う「菊の着綿(きせわた)」と呼ばれる風習もありました。

これらは、長寿の儀式、若返りの儀式で、世界屈指の長寿の国に相応しい大変魅力的な風習だと思います。是非復活させたいものですね。

加えて、菊の花を摘んで乾燥させ、それを枕にしたものが「菊枕」で、当時、男性が女性に贈るチョッと洒落たプレゼントだったわけです。

何しろ秋に摘んだ菊の花を陰干しして、それを詰めた枕ですから、上品な香気が漂い、安眠効果は大きかったと思います。
最近特に睡眠の大切さが問われていますが、菊枕も良いかもしれませんね。

ところで、この時期は空気が冷たく感じ、空気が澄み、秋風が心地よく、そして青空が広がるこれです。だから、身も心も健やかに暮らせる日が多いわけですが、菊が咲く時期に心地良く晴れ渡った青空の事を「菊晴れ」と言います。

こんな素晴らしい菊ですが、「菊=葬式の花・お墓や仏壇にお供えする花」と認識している人も多いと思います。色々な理由がありますので、その理由を簡単に触れておきます。

○菊の香りがお香の匂いによく似ているから。
○日本の国家が菊の花で大変厳粛な花とされているから。
○菊は大変格調高い花であり、中でも白い花は最高の格式を備えており、故人を丁重に葬ることが出来るから。
○菊は大変丈夫で、切り花にしても長い間凛と咲き続けているから。
○菊の花はトゲもなく、コスモスやバラなどのように枯れても花ビラが散ることがないうえに、防虫効果が高いから等などの理由があります。

しかし、本来は、菊は長寿に繋がり、縁起の良い花だと思います。
ただ、菊の花をどのように捉えるかは人それぞれです。
マナーはルールではありませんから、どちらともとれるケースも多々あります。臨機応変に対応することも大切です。

丁度今頃はハロウィンイのベントが盛んに行われています。
西洋やアメリカにおける、収穫を祝い悪霊を追い出すお祭りですが、日本でも年々盛んになり、商店街でも地域でも幼稚園でも学校でも行われるようになりました。

しかし、古くから伝わる日本古来の美しい風習や行事が廃れて行くのは寂しい限りですね。

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マナー講師 平松幹夫

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