コラム

 公開日: 2014-10-02 

マナーうんちく話811《祭と御神輿と山田の案山子》

暑くもなく、寒くもなく、天高く心地良い時節になりました。
10月は「神無月(かんなづき)」と言われますが、これは全国津々浦々の八百万(やおろず)の神様が、島根県の出雲大社に出張され不在になるからです。

但し出雲の国(島根県)だけはだけは、全国から神様が集合されるわけですから「神在月(かみありづき)」になります。

出張の目的は農作物に関することも多少はありますが、主として縁談に関する会議を行うためだと言われています。

結婚願望があっても幸せな結婚に至らない若者が増加する中、出雲大社で開催される神々の会議には、大いに期待したいものです。

そして10月は、日本人が大好きな祭りが全国各地で始まります。
春や夏にも祭りは有りますが、この時期の祭りは厄払いが多いのですが、秋祭りは収穫を感謝するものが多いのが特徴です。

お祭りの時には、神様が鎮座されるお神輿(みこし)を神社から出して、ワッショイ、ワッショイの掛け声と共に担ぎ、地域を一巡してまた神社に返るわけですが、この「ワッショイ」には、「和(ワ)を背負う(ショイ)」という意味もあります。

また、お神輿を二階以上の建物から見下ろすことは感心いたしません。
なぜなら、お神輿には神様がお乗りになっているので、それを上から見下ろすのは失礼になるからです。

ではなぜ神様は、お神輿に乗って地域を一巡されるのでしょうか?
実はこの時にも神様は、人間にとってとても大切な仕事をして下さいます。

地域には災いをもたらす災厄が多く有ります。
お神輿に乗った神様は、それらを全て吸収して地域を清めて下さるわけです。

ところで、この時期になると、田舎の風景には欠かすことが出来ない「案山子(かかし)」をよく見かけるようになりますね。

『山田の中の一本足の案山子 天気の良いのに みの笠着けて
朝から晩まで ただ立ちどおし 歩けないのか 山田の案山子』

明治の終わり頃に発表された文部省唱歌で、米を主食にしている日本人ならだれしも口ずさんだ歌ですね。

ちなみに、山田の中の案山子は、田畑を荒らす鳥獣等を脅かして追い払う為に立てる、藁や竹で作った人形です。

如何にも人が農作業をしているように見せかけるために、その役割があるわけですが、ただ立っているだけではありません。
他にも大切な役割があります。

「山の神様」は、春に山から下りてきて「田の神様」になられ稲の豊作を見守って下さいます。

そのお陰で豊作になったわけですから、今度は豊饒に対して、神様に感謝の儀式をしなければなりません。
これが秋祭りです。
その「依りしろ」になるのが案山子だと言う説があります。

「生きることは食べること」です。
昔は食べ物に恵まれるか否かが一生を左右していたので、豊作を迎えた喜びは、世界屈指の飽食の国となった今とは比較にならない位ありがたかったことだと思います。

だから秋祭りは大変大切な儀式ということになります。
これから、あちらこちらでお祭りが始まりますが、お祭りの太鼓が聞こえたり、お神輿を見かけたら、「和すること」と「感謝すること」の大切さを再認識したいものですね。

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