コラム

 公開日: 2014-09-30 

マナーうんちく話810《持て成しの「仕方・受け方」、三杯のお茶より》

ある暑い日、鷹がりに出かけた秀吉は喉が渇いたので山寺を訪れ、お茶を所望しました。

お寺の茶坊主が応対しました。
暑い時だから、最初は大きめな器に、ぬるめの、薄いお茶を、多めに入れて差し出しました。

そのお茶を一気に飲み干した秀吉はもう一杯所望しました。
次は、中くらいの器に、やや熱めの、一杯目より濃い目のお茶が、程々の量で出てきました。

それを頂いた秀吉は、一杯目と二杯目のお茶がかなり違っていたので興味を持ち、三杯目を所望します。

茶坊主が出した三杯目のお茶は、小さめの器で、熱くて濃い目で、少量だけ出てきました。

なぜ、三杯共お茶が異なるのでしょうか?

理由は、暑い時だから、最初はぬるめの薄いお茶で喉をうるおし、喉が潤ったところで、お茶本来の味を楽しんでいただくためです。

この持て成しにすっかり気に入った秀吉は、茶坊主をただの茶坊主にしておくはもったいないと思い、茶坊主を小姓として取りたてたわけです。

この茶坊主こそ、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で秀吉の側近として活躍している人、つまり石田三成です。

これは「三杯のお茶(三献茶)」として非常に有名なお話しですが、相手の状況を上手に把握して、それに応じた振る舞いが大切であると言う教えです。

ではこの物語、茶坊主と秀吉とではどちらが素晴らしいと思いますか?

私は二人とも大変素晴らしいと思います。
茶坊主は機転を利かし、マニュアルには載ってない方法で、その場の状況を的確に判断し、臨機応変に対応しました。

一方、秀吉はどうでしょうか?
秀吉は茶坊主の見事な対応をしっかり受け止めることができました。
これはすごいと感じます。

つまり、最大限のおもてなしの心で淹れたお茶でも、飲み手がそれを感じる能力がなかったら、「ご馳走様」だけで終わってしまいます。

他家や他社を訪問する時には、如何に礼儀良く振舞うかも大切ですが、先方の心遣いを上手に受け止めることが出来るか否かが大切です。

先方の心遣いを気持ち良く受けることが出来れば、持て成しをする側とされる側が、互いに心の交流を図ることができます。

織田信長に仕えていた秀吉には、寒い日に信長の履く草履を懐で温めたというエピソードがありますが、このようなお持て成しが出来る人は、持て成す側の心遣いをキチンと理解することが出来るのでしょうね。

また、もてなす方は、相手が心地良く過ごして頂けるように「さりげなく」、そして最大限の心遣いをして下さい。

仰々しく、如何にも「おもてなしをしていますよ」と言う態度では、相手が恐縮するからです。
つまり、お持て成しも不必要に度が過ぎても良くないと言うことです。

そして、持て成しを受ける側は、相手の心遣いに対して謙虚さと感謝の心を忘れないようにすることが大切です。

日本独特の「お・も・て・な・し」の心は非常に大切ですが、持て成しの仕方ばかりが話題になっている気がしてなりません。
受け方もとても大切だと言うことを認識して下さいね。

持て成しの「仕方」と「され方」で最も大切な事は、小手先のスキルより、互いに人間性が大事です。

この記事を書いたプロ

人づくり、生きがいづくりプロジェクトの岡山ハッピーコミュニケーション

マナー講師 平松幹夫

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