コラム

 公開日: 2014-09-22 

まなーうんちく話806《「半殺し」のおもてなし》

お彼岸は春だけでなく秋もあります。
春分の日を中心とした前後3日間が「春の彼岸」であり、秋分の日を中心にした前後3日間、合計7日間は「秋の彼岸」です。

いずれも最初の日を「彼岸の入り」、真ん中を「彼岸の中日」、最後の日は「彼岸の明け」と言います。

彼岸の中日は春分の日と秋分の日ですが、いずれも昼と夜の長さが同じで、太陽が真東から昇り、真西に沈む日です。

昔の人は「極楽浄土は西のかなたに存在する」と考えられていたので、春分の
日と秋分の日に先祖を供養するようになり、今でもお墓参りをします。

そこで用意するのがボタ餅とお萩ですが、これらは同じものです。
春分の日は牡丹の花が咲く頃ですから「ボタ餅」と名付け、秋分の日は萩が咲
く時期ですから「お萩」と名付けられました。

ボタ餅もお萩も材料はもち米と小豆と砂糖です。
今でこそ日本は、世界一飽食の国ですから、ボタ餅にせよお萩にせよ、それほ
ど珍しくは有りませんが、かつて砂糖やもち米や小豆は庶民にとって大変貴重
品で、最高のぜいたく品でした。

つまり、当時の人はご先祖様をお持て成しするに当たり、出来得る限りをつくし感謝の気持ちを表現したわけです。

ところで、表題には「半殺しのお持て成し」とぶっそうな表現していますが、
これは実は「お萩の別名」です。

お萩は地域により、「粒あん」や「こしあん」、さらにアンコを包んだりまぶしたりするので多少の違いはありますが、「半殺し」とは、ボタ餅の持ちを作る時に、炊いた飯の飯粒が半分位残る程度につぶすことです。

これに対して、もち米の粒が残らない位潰すこと、つまり全部潰してしまうこ
とを「皆殺し」とか「本殺し」と言います。

お米のすりつぶしの度合いで「半殺し」とか「皆殺し」「本殺し」と昔の人は
名前を付けたわけですね。

風や雪や雨やお月様の状態等にも大変素敵な名前を付けており、その感性はす
場らしいものがありますが、ユーモアセンスもなかなかですね。

正月にはご先祖様をお雑煮でお持て成ししますが、お餅はもち米の粒が残らな
い位全て潰す「皆殺し」ですから、お正月は「皆殺しのお持て成し」でしょう
か。

ちなみに、お彼岸にお萩をお供えする習慣が定着したのは、先祖供養と共に、
春は豊作を祈り、秋には収穫に感謝するために、神様にお供えしたのが始まり
とする説もあります。

また、秋に収穫したばかりの柔らかい小豆をそのまま粒あんにしたのが「お萩」で、冬を越して固くなった小豆をこしあんにしたのがぼた餅と言う説もあります。いずれも素晴らしい生活の知恵ですね。

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