コラム

 公開日: 2014-06-24 

マナーうんちく話758《「ご馳走様」「祝い箸」「おかしら」に込められた思い》

昼が長くなり、日に日に暑さが増してくると、太陽の力強さを実感できるようになります。

そして、その太陽の恵みを一杯浴びて強く、逞しく育ってくるのが向日葵ですね。白い雲、青い空、黄色い向日葵のコントラストはまさに夏の風物詩です。

向日葵はコロンブスがアメリカ大陸を発見して、スペイン人によってヨーロッパに伝えられたと言われておりますが、「太陽の花」と表現する国も有れば、「太陽について回る花」と呼ぶ国も有るようです。

例えば英語は「sunflower」ですから前者ですが、日本語では「向日葵」「日回り」と表現しますから後者ですね。

いずれにせよ、大空に向かい、逞しく大輪の花を咲かせる花には、暑い夏を力強く乗り切るパワーが漲っているので、元気が湧けてもらえそうな気がします。

先日来の「和食マナーの腕試し」の解説の続きです。

⑤食事が終わった時の「ご馳走様」の意味
日本には、食前と食後に美しい挨拶があります。
「頂きます」は食材に対する感謝の言葉ですが、「ご馳走様」は食事を作ってくれた人や提供してくれた人への感謝の言葉です。

「馳」「走」も走ると言う意味ですが、昔は客人をもてなすために走りまわって獲物を獲得して、それを食べたから「馳走」になったわけですが、走り回って食べ物を提供してくれた人に敬意を込めて、最初に「御」、終わりに「様」を付けたようです。
日本を象徴する素敵な食文化だと思います。

⑥「祝い箸」の両側が細くなっている理由
神様と一緒に食べる、つまり「神人共食箸」だからです。
正月のお節料理や結婚式に供される御膳のような祝い膳を食べる箸を「祝い箸」と言いますが、これは日本の箸の中でも最も格上で、柳の木から作られます。

正月にご先祖様、つまり歳神様をお迎えしてお節料理を食べますが、その時に人間だけが食べるわけにはいきません。

だから、人間と神様が一緒に食べることが出来るために両端が細くなっています。神様(神道)の国のとてもユニークな精神文化です。

ちなみに「祝い箸」の次に格式が高いのが「割箸」で、江戸時代に客人をもてなすために、「この箸は貴方だけのために用意した、まだ未使用の箸ですよ」と言う意味が込められています。

廃材を利用して作りますから、エコの元祖のようなものですね。

⑦「祝い膳」に付き物の「おかしら」について
婚礼や長寿の祝いの時等に供される「祝い膳」には、丸ごとの魚がつきますが、これを「オカシラ」といい、漢字で書くと「尾頭」になります。

頭から尾の先まできれいに整った美しい魚のことです。
昔は、豊作や健康を野菜や魚などを神様にお供えして祈願しました。

何しろ相手は神様です。お供え物には最大限の気を使わなければなりません。魚の場合も、とれたての新鮮で、かつ傷がなく、美形の物が要求されます。
つまり、頭の先から尾までが綺麗に揃っていると言う意味です。

そして、神事が終われば、それを下げて、神事に参列した人達で食したわけですが、神様にお供えした物を食べるわけですから、感謝の気持ちを込めて美しく食べなければいけません。

だから、丸ごとの魚を箸で美しく食べる作法が生まれたわけです。
美しい魚の食べ方は「マナーうんちく話718《魚の美しい食べ方》」を参考にして下さい。

和食のマナーは美しく食べる事をとても大切にします。
特に魚を食べる時には、食べ終わった時の「見た目」を常に気にして下さい。

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マナー講師 平松幹夫

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