コラム

 公開日: 2014-06-17 

マナーうんちく話753《日本人と梅とのかかわり》

梅の実が市場に出回る頃になりました。
梅の花は、厳寒に先駆けて咲きますので縁起の良い花として昔から親しまれてきました。

迎春の準備の必需品として年末にはお目見えしますが、一般的に葉2月から3月にかけて咲きます。

そして、梅雨の恵みを一杯に受け、今頃実が熟します。
「ツユ」の事を「梅雨」と書きますが、これはウメの実が熟す頃に降る雨だからです。

さて、梅と言えば焼酎の梅割りや梅酒、そして梅干しを思い浮かべる方も多いと思いますが、良く熟した梅はそのまま食べてもとても美味です。

万葉の頃から貴族のステータスとして庭に植えられたり、歌に詠まれたり、健康食品として重宝されてきましたが、1000年以上たった今でも人気は衰えていませんね。

物事が上手くいくとか、程良く調整が整った時に「塩梅(あんばい)」と言う言葉が使用されますが、これは梅干しを付ける時の塩加減の事を意味します。

熟して木から落ちるようになった梅はジャムに、ある程度熟した梅は梅干しに、まだ青い梅なら梅酒が適しています。

比較的安価で、手頃に入手できるから色々と手作りで挑戦されるのも良いですね。昔はどこの家庭でも先祖伝来の梅を漬けていたものですが、その時に景気づけに歌った歌があります。
 
明治時代から大正時代にかけて、当時の尋常小学校の教科書に掲載された詩で、日本人の伝統的な暮らしぶりや食文化を象徴しています。

2月3月花盛り、鶯鳴いた春の日の 楽しい時も夢のうち

5月6月実がなれば、枝から振り落とされて 近所の町へ持ち出され
何升何合はかり売り、もとよりすっぱいこの身体 塩に浸かってからくなり、
紫蘇に染まって赤くなり、

7月8月暑い頃、3日3晩土用ぼし、思えばつらい事ばかり、それも世のため人のため、シワわよっても若い気で、小さい君らの仲間入り、運動会にもついて行く、まして戦のその時は、無くてはならぬこの私

9月10月秋の日に、山は紅葉や楓が色づいて 里の庭には秋の声 再び仲間はおにぎりやシソに 巻かれて旅に出る 私は寂しく樽の中・・・・。

観賞用、歌の題材、薬と親しまれてきた梅ですが、日本の味として一般家庭の食卓に登場するのは江戸時代からです。

ちなみに梅は漬けモノですが、「梅漬け」とは言わず「梅干し」と言いますが、
その理由をご存知でしょうか?
これは、漬けて、干すという手間がかかっているからです。

つまり梅雨が明けて土用になったら、天気が安定してくるので、裏返しながら、夜露にあてながら、3日3晩干すわけですね。此れで出来上がりですが、ここから梅干しは時間がたつほど味に深みが増してきます。

《梅干しと友達は古いほど良い》と言われます。
梅干しの古いものは絶妙の味がしますが、古い友人も気心が知れ、信頼できます。人の価値は、長くつき合っている友人がどのくらいいるかですね。

また、《梅根性に柿根性》といいます。
梅は煮ても焼いてもすっぱいので、梅根性とは頑固者を意味します。

一方、渋柿は焼いたら渋はとれます。さらに干せば渋柿は甘くなります。従って柿根性とは、変わりやすい人の例えです。

また、良い物や美しい者が並んでいる様子を《梅と桜》といいますが、出来ればこれが良いですね。

ちなみに、良いものを同時に手に入れる事を《両手に花》と言いますが、これは香りの良い梅と、見た目が美しい桜です。



  

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