コラム

 公開日: 2014-06-05 

マナーうんちく話747《noblesse oblige「高貴な人のマナー」》

梅雨入りしたところで、いよいよ田植えの時期になりました。
食の西洋化が進んだとはいえ、日本人の大半の人は米が主食で、毎日一回は米を食べていると思います。
そこで質問です。

稲穂をご存知でしょうか?
イネ科の植物の穂先にある、針のように細い毛のような部分を芒(のぎ)と表現しますが、6月6日は24節季の一つ「芒種(ぼうしゅ)」です。

芒種は二十四節季の中でもなじみの薄い言葉だと思いますが、稲のように、「芒のある穀物の種をまく時期」と言う意味です。

田んぼを耕し、水を張って育てた苗を、いよいよ田植えをする時期です。
つい半世紀前までは田植え機が無かったので、数本ずつ束ねた苗を、一つずつ、腰をかがめて、田んぼの水につかりながら、手で植えていました。

昔の田植えを経験した人は、その苦労が身にしみています。
だから、昔から日本人は、「一粒のコメも無駄にしてはいけない」と躾けられてきたわけです。

以前、ケニアの環境副大臣マータイ博士が来日された時、日本の「MOTTAINAI文化」に感動され、これを世界に広められたことは有名ですが、勿体ない文化の原型はこの辺にあるような気がします。

さらに、米を作ると言うことは、田を耕し、水路を築き、水の管理が大変です。従って、一人ではできません。

多くの人が力を合わせて、助け合いながらする仕事です。
ここから、「和の精神」や「しきたり」が生まれたとも言われています。
まさに、稲=命根(イネ)=命の根なのです。

加えて、田植えは農作業のみならず、花見のように、田の神様をお迎えする神事にもつながっています。

普段稲穂に縁がない人でも、正月には稲穂を飾ります。
これは、「今年もどうか実り多い年になりますように」との願いが込められています。

そして、「実るほど首を垂れる稲穂かな」という諺があります。
「人格者ほど謙虚で、小人物ほど尊大に振舞う」たとえです。

良く実った穂のように中身が優れている人は、頭を下げる事、即ち謙虚になる大切さをわきまえていると言う意味ですね。

これに似た教えは西洋にもあります。
the more noble、the more humble

「偉い人ほど高ぶらない」と訳します。
「Noble」は高潔、崇高、気高いと言う意味がありますが、フランスには
《noblesse oblige(ノーブレス オブリージュ)》と言う諺があります。

マナーの世界では有名ですが、身分の高い人には、それに応じて、果たすべき義務や責任があると言う意味で、西洋の基本的な道徳観になっています。

平たく言えば、貴族たる者は身分にふさわしい振る舞いをしなければいけないと言うことですが、日本の武士道にも通じます。

人は人徳が無ければ、いくら金や知識や技術があっても、人として尊重されることはありません。

何もかも豊かで便利になり、生き方もすっかり多様化してきた現代人も、芒種の時期位は、古来より脈々と続いている諺や伝統の大切さを自覚したいものですね。

特に指導的立場にある人には参考にして頂きたい言葉です。
マナーは学生や新入社員ではなく、指導的立場にある人が率先して、身に付け、人や自然に対して発揮するものです。

加えて、イネの緑の葉の環境保全効果や水害を守る力、さらに年中行事との関わり等、稲の多様性にもう一度目を向けてみることも大切だと考えます。


この記事を書いたプロ

人づくり、生きがいづくりプロジェクトの岡山ハッピーコミュニケーション

マナー講師 平松幹夫

岡山県和気郡和気町父井原824番地 [地図]
TEL:090-4573-1062

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

7

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
参加者の声

【和気町協働事業「バラ色未来創造大学」に参加された方の声(アンケートから抜粋)●講座に参加するたびに若返る気がします。この年で新たな生きがいができ大変うれしい...

講演会・研修会メニュー

【女性部・女性会向け厳選講座】商工会、法人会、各種団体女性部から婦人会、地域、企業、サークルまで幅広く対応できる人気講座で、人生を前向きに生き、身も心も精...

 
このプロの紹介記事
マナーと自分磨きを指南する平松幹夫さん

美しいマナーを身につけてハッピーな人生を!(1/3)

「マナーは相手への思いやりを表現するためのスキル。形だけでなく、そこに込められた意味を理解したうえで身に付けることで、人間関係を良好にし、心の豊かさを取り戻せると思うのです」と、穏やかな物腰で語りかける平松幹夫さん。マナー講師、講演会講師と...

平松幹夫プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

講演・セミナーが大好評!老若男女をキラキラ魅せるマナー講師

所属 : 人づくり、生きがいづくりプロジェクトの岡山ハッピーコミュニケーション
住所 : 岡山県和気郡和気町父井原824番地 [地図]
TEL : 090-4573-1062

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-4573-1062

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

平松幹夫(ひらまつみきお)

人づくり、生きがいづくりプロジェクトの岡山ハッピーコミュニケーション

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
マナーうんちく話1468《大切にしたい「言葉のお洒落」と「敬語」①》

日本は国土の7割以上を山で覆われていますが、「山笑う頃」から「山滴る頃」は緑のグラデーションが一番美しい時...

[ 日常生活におけるマナー ]

マナーうんちく話1467《マナーに存在する原則と例外》

日本には世界屈指の年中行事が有ると言われていますが、地域により様々です。慶事や弔事のしきたりもそうでしょ...

[ マナーの心得 ]

マナーうんちく話1466《農の心を大切に!5月21日は二十四節気のひとつ「小満」》

気温が上がり一段と緑が濃くなってきました。5月21日は二十四節気のひとつ「小満」です。二十四節気の中...

[ 歳時記のマナー ]

マナーうんちく話1465《大切にしたい「その場の空気を読んだ」立ち居振る舞い》

大人として「してはいけない振る舞い」、「すべきではない振る舞い」は多々あります。特に女性は・・・。しか...

[ ビジネスマナー ]

マナーうんちく話1464《賢い休養のお勧め》

四季が明確に分かれて、それがゆっくり移り変わる日本では吹く風にも豊かな感性を働かせました。丁度今頃に吹...

[ マナーの心得 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ