コラム

 公開日: 2013-11-30 

マナーうんちく話631≪「小春日和」から「冬日和」≫

クリスマスのイルミネーションが夜空を美しく照らす季節になりました。
寒風の夜、背中を丸めて眺めるイルミネーションは、街を元気にしたり、人の心を温かくする力があるように感じますが如何でしょうか?

ところで、今が旬で、冬の冷え込みと共に糖度や栄養価がグーンと高まる「冬葉」と呼ばれる野菜は何かご存知でしょうか?

ホウレン草です。
この野菜は今の日本ではいつでも出回っていますが、冬のホウレン草はヴィタミンCや鉄分が多くなり、もってこいの健康野菜です。

ポパイがイザと言う時にホウレン草を食べて超人的な力を発揮する物語が有名ですが、これは今から80年くらい前のアメリカで、子どもが野菜を食べないので、野菜が身体に取って大切な食べ物である事を教えるために、母親が引き合いに出したエピソードです。野菜嫌いな子どもが多いのは古今東西変わらないようですが、躾方が今の日本とは少し違うような気がします。

ところで、以前にもお話ししましたが、秋の山が紅葉する様を「山装う」と言います。日本の山は四季により様々な表情になりますから、その様子を美しい言葉で表現したわけですね。
ちなみに、もうしばらくして冬本番になれば「山眠る」、春は「山笑う」、夏は「山滴る(したたる)」と表現します。

また、晩秋から初冬にかけて、つまり11月から12月初旬にかけて、風も無く、日蔭は寒いけど、日向は温かくて気持ち良い好転気を「小春日和(こはるびより)と言います。

「日和」は天気、空模様、晴天、さらに、何かをするのにちょうどよい天気の意味です。「行楽日和」とか「待てば海路の日和あり」等と言われますね。

では、晩秋から初冬にかけて、穏やかな好転気を何故小春日和と表現するかと言えば、陰暦の10月を「小春」と言うからです。

秋なのに小春日和と表現する事を始め、真冬の正月を「新春」と表現したり、6月の梅雨の合間の好転気を「五月晴れ」と言ったり、七夕が秋の季語になったり、季節と言葉とがミスマッチでややこしい言い方が多々ありますが、これは明治の初めまでは、陰暦が使用されていたためです。

陰暦では、春は1月と2月と3月で、夏は4月と5月と6月、秋は7月と8月と9月、そして10月と11月と12月が冬になります。
つまり、陰暦は1カ月から1ヶ月半のずれがあるわけです。

ということで、小春日和は12月初旬位までの時期の好天気を言いますが、季節がさらに経過した時の好天気は、「冬暖か(ふゆあたたか)」とか「冬日和(ふゆびより)」等と呼ばれます。

小春日和は初冬の季語ですが、冬日和はどちらかと言うと厳寒の冬のイメージです。だから、冬の晴れ間の一日は、雪国は勿論、皆にとって大変貴重な一日になるわけですね。おそらく動物も植物も喜ぶ日ではないでしょうか?
いくら冷暖房が完備しても自然の恵みには勝てません。

これから日に日に寒さが募りますが、私たちが寒いと感じるのは何も温度だけではありません。物理的には温度以外に湿度、風速、着衣量、それに活動量等様々な要因が複雑に絡みあっています。

豊かで便利になった現代では、これらを上手に加えたり、取りはらったりしながら、快適さを都合よくコントロールしています。

そして、何事も自分の都合の良い方に向けるために、周囲の様子を常にうかがう事を「日和見主義(ひよりみしゅぎ)」と言います。

江戸時代の天気の観測の事を日和見と言ったので、定まった考えを持たず、形成を伺い、有利な方につくことを日和見主義と名付けたわけです。
日和には物事の成り行きを見るという意味も有ります。
しかし、小春日和とか冬あたたかと言う表現はなんとなく温かい感じがして心が和むようですが、日和見主義はなんとなく好感が持てませんね。

明日から師走です。
年の背が近づくにつれ何かと慌ただしくなりますが、このような時期だからこそ、今年を振り返り、日々の在り方を見直してみるのもお勧めです。


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マナー講師 平松幹夫

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