コラム

 公開日: 2013-10-10 

マナーうんちく話605≪人生の旬≫

日中は汗ばむ夏日でも、朝晩の冷涼さには秋の深まりを感じます。
そしていよいよキノコ狩りシーズン到来で、味覚の王様とも言える松茸が旬を迎え、店頭で目立つようになりました。

ところで、「旬」という漢字を数字で表現すると、どんな数字が当てはまると思いますか?

旬は、「10日」を意味する言葉です。
一か月を10日ずつ分けて、上旬・中旬・下旬と言います。

中世の頃には朝廷で、旬の始め、つまり1日と11日と21日に、臣下から天皇が政務についての話しを聞き、その後、季節の野菜や魚で宴を催す「旬儀」といわれる儀式が行われ、これを略して「旬」と言ったのが始まりです。

今では、季節の食べ物の事を意味する言葉になったわけですが、詳しくは「旬」と表現する場合には、概ね3つの意味が込められています。

○季節を先取りするケース。
「初モノを食べると寿命が伸びる」と言われて、縁起が良い食べ物ですが、この時期は供給が少なく値段の高いのが特徴です。桃やマスカットや松茸等は、出始めに非常に高い値がつきます。

○収穫量が最盛期に当たる時期。
最もよく使われる意味です。食物が一番多く収穫される時ですから、値段もグーンと安くなり手に入りやすい時期です。

○素材の栄養価が高まり、味も美味しくなる時期。
誠に理にかなっていますね。

大体以上ですが、最近は異常気象の影響や冷凍技術や温室栽培等の技術が進歩し、さらに輸入が増加してきたので、明確に旬が定められなくなりました。

また、苺や鰻は需要と供給の加減で旬を勘違いしている人も多いようです。
例えば、クリスマスケーキを作るのに大量に使用されるイチゴの旬は冬だと思いこんでいる人や、鰻の旬を夏だと思い込んでいる人も珍しくありません。

しかし何と言っても、旬の食べ物は季節からの大切な贈り物です。
感謝の気持ちを込めて、美味しく、楽しく、賢く頂きたいものです。

ところで、食べ物と同様に、人生にも旬があるのではないでしょうか?
日本は世界一「飽食の国」であり「美食の国」であると共に、世界一「長寿の国」です。と言うことは、日本は世界一高齢者が多い国です。
100歳以上の人が、全国に54000人以上います。

昔から高齢になると、「盛(さかり)りは過ぎた」とか、「枯れすすき」とか言われますが、耳が痛い言葉ですね。

しかし、長寿の国では、人生の旬を先送りする試みも熱心に行われています。
「アンチエイジング」もそうですし、「晩婚化」や「晩産化」もしかりです。

加齢を、素直に受け入れるか、彼に逆らい少しでも若返りを図るか?
どちらの生き方にも一理ありますが、いずれを選択するかは人それぞれです。

しかし、長い人生にはそれぞれの節目に有った生き方があり、それに見合った旬が有ると思います。だからそれを尊重すればいいと私は思います。

例えば、体力的には若い時が旬ですが、メンタル面や知識面等は高齢期になってからが旬になります。

幾つ歳を重ねても運動・睡眠・栄養に留意し、健康で元気を保つことは必要ですが、いつまでも若さを保つための旬に依存するのではなく、加齢と共に、身体の旬は若者に託し、若者では頼りないメンタルな部分に磨きをかける努力が大切だと考えます。
亀の甲より年の功です。

長年培ってきた経験・知識・生活の知恵をフル活用して、次世代に伝えたい事や教えたい事が沢山あります。そのためには若い時期から外面と内面に磨きをかけ、高齢になっても高齢期の旬を味わう努力が必要です。
そのためには、素敵なマナーを身に付けることをお勧めします。
そして、私のつたないコラムがその一助になれば嬉しい限りです。



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マナー講師 平松幹夫

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