コラム

 公開日: 2013-05-31 

マナーうんちく話548≪「麦の秋」と「夜明けの行燈」≫

よく「実りの秋」といわれるように、秋は多くの作物が実り、収穫の時を迎えますが、作物の収穫時は秋に限った事ではありません。

夏の季語に「麦の秋」と言う言葉が有ります。
今では、昔のように、麦を見ることがめっきり減ってきましたが、麦は丁度今頃収穫期を迎えます。
今年はすでに梅雨に入っていますから、少し気になるところです。

立春から数えて、88日目が八十八夜で茶摘みの時期ですが、麦は120日目頃が収穫期だとされています。

周りは青々とした緑なのに、麦畑だけは黄金色になるわけですから、何とも不思議な光景のように感じます。

また、麦は粉にして、パンやケーキやラーメンなどに加工して食しますが、当時麦は、米とは全く異なるなる時期に収穫される、とても貴重な食料だったわけですね。

二十四節季の一つに「小満」がありますが、これは、5月20日頃になると、麦の穂が少し実ってきて、一安心すると言う意味です。
麦の出来不出来は、命にもかかわる大事だったので、このような言葉ができたのでしょうね。まさに「生きることは食べる事」であり、食べ物がいかに貴重であったかと言うことです。

さて、今回は前回の「昼の行燈」に引き続き、「夜明けの行燈」について触れてみます。

行燈は夜の暗いところで役に立つもので、夜が明けて明るくなったら無用になります。

つまり、夜明けの行燈は、有っても無くても良いものです。
これが転じて、夜に家族や夫婦間で大喧嘩してカッとなっても、短気を起こさず、夜が明けるまで待って、少し頭を冷やせば、大事にならずに済むばかりか、喧嘩の内容が「どうでもいいこと」だと思えて来ると言う意味です。

気に入らないことや腹が立つことが生じたら、短気を起こさず、少し間を置き、無用な争い事を避けた、江戸しぐさの一つです。

「短気は損気」と言う事を諭した言葉のように感じますね。
気の短い人は、何か気に入らないことが起これば、瞬間湯沸かし器のようにすぐにカッとなりますが、これでは何ら問題は解決しません。

すぐに頭に血が上ってしまったら、良い知恵も浮かびませんし、後になってむなしさが残るだけで、最終的には自己嫌悪に陥ります。

「一呼吸を置く」と言う言葉が有ります。
なにかあれば、とりあえず、一回呼吸すると言う意味です。
つまり、少し「間を置く」と言うことですね。

こうすれば、言わなくても良い事を言わずに済み、亀裂が生じるのを避けることができるし、新たな知恵も浮かんできます。

気に入らないことや、頭にくることが起きても、一旦は一呼吸置き、頭を冷やし、冷静になる事をお勧めします。

出来れば、風通しの良い所に出て、とりあえず落ち着き、それから深呼吸でもされたらいいですよ。

それでも、収まらない場合は、改めて冷静に話しあうことです。

余談事ですが、旅館に着いたら、先ず、お茶と菓子が用意されています。
すぐに、風呂やご馳走を食べるのではなく、とりあえず、「間お置いて下さい」と言うことで、的を射た「もてなし」のスタイルだと思います。

「間を置く」ということは、相手や自分に対する最高の思いやりなのです。
様々な場面で応用できますので、是非応用して下さいね。




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