コラム

 公開日: 2012-10-18 

マナーうんちく話361≪お返しのマナー≫

日本では、贈り物を頂いた時に「お返し」をするという、世界でも大変ユニークな習慣があります。

但し、お返しは、全ての場合にするのではなく、しなくてもいい場合も多々あります。

お返しを、「した方が良いケース」と「しない方が良いケース」。
大変ややこしいようですが、人間関係をスムーズにするために覚えておく必要があります。

ところで、お返しの起源ですが、日本では古来より、婚礼や葬儀などの際に、野菜や米などを持ちより、相互扶助のシステムを作っていました。
例えば、葬式の際の「米香典」等です。

そして儀式が終わると、残った野菜や米は皆に還元したわけで、その名残が今の「お返し」です。

頂いたものを全て自分の物にすればいいのですが、それでは借りを作ることになります。さりとて、全部返すと、せっかくの思いやりを無駄にすることになりかねません。
だから、大体半分を目安に、お返しをするという習慣ができたわけです。

慶事や弔事に対して「贈り物」や「お返し」をする、日本人ならではの美しい習慣は、このようにして根付いていきました。

そして、お返しを必要とするのは、大きな喜び事が多いようです。
例えば、結婚・出産・受章(賞)・長寿等です。

また、「内祝い」は、日頃からお世話になっている人に対し、喜びを「おすそ分け」する祝い事でしたが、大勢の人を家に招いて盛大に宴を催せば、費用もかさみ仰々しくなるので、贈り物に替えたわけです。

お返しのタイミングですが、先ずはお礼を述べて、お返しは大体20日から30日くらい経過してからが妥当です。
贈り物を頂いて、早速お返しをしたら、かえって「相手に迷惑だったかな?」と思われます。

加えて、香典などに対するお返しは、仏式では49日の法要が終わり、あいさつ状と共におくるのがしきたりでしたが、これは、「たしかに故人にお供えしました」という報告の意味も含まれています。
但し地方により異なります。
葬儀の当日に「会葬御礼」と共に、香典の額に関わらず同じ物を渡す場合も多々あります。


一方、入園・入学・卒業・就職・成人の祝い、さらに災害見舞い・引っ越し祝い・餞別、お歳暮・中元は、お返しの必要は無いとされています。
但し、お返しの必要がないだけに、礼状などで、より丁寧なお礼をしなければいけません。

ちなみに、バレンタインのチョコレートを頂いた男性は、一月後の3月14日にお返しをしなければなりませんが、これは「ホワイトデー」と言われ、お菓子組合が作った習慣だそうです。
いずこの業界にも、賢い方がいらっしゃいますね。

最後に、昔からある「お移り」は、器や重箱などで贈り物を頂いたら、その器にお返しを入れて返す習慣です。

昔は半紙やマッチが多いかったのですが、紙は神、マッチはマッチの「硫黄」を「祝う」に掛けています。今ではクッキーなどのお菓子が多いようです。

「お移り」は、贈り物を頂いた相手と、「これからも末長く縁が続きますように」とか、「喜び事がこれからも有りますように」との願い事が込められています。

日本ならではの「お返しの風習」は、早い話し、人間関係を良好に保つための良き手段だったようです。

本来の意味を正しく理解すれば、旧来の風習だと言ってむげにはできませんね。

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マナー講師 平松幹夫

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