コラム

 公開日: 2012-06-03 

マナーうんちく話253≪衣替えと初鰹≫

カレンダーをご覧頂いたらお分かりだと思いますが、日本の6月には主だった行事や祭日はありません。
強いて言えば、前回お話しした「衣替え」でしょうか。

そもそも、衣替えは平安時代の貴族社会に端を発すると申しましたが、これにはかなりこだわりが有りまして、単に衣服のみならず、家具類や調度品まで替えていたそうです。

さらに、江戸時代になると、武士の制服が季節により細かく定められるようになり、明治維新後には公務員の制服が、冬服と夏服に分類され、6月と10月には衣替えが行われ、これに民間企業である商社や銀行が追従していきます。
学生のユニフォームもそうですね。

今では、クールビズやスーパークールビズという言葉に流されてしまい、すっかり忘れ去られた気がしますが、「衣替え」という言葉に従い、衣服を6月と10月の季節の節目に替えることにより、世界的に美しい日本の四季を、より具体的に実感することができます。

そして、これから迎える、暑さや寒さに対して、物理的にも精神的にも備えをすることになり、衣替えという言葉には、大きな意義が存在していたわけです。

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉が有りますが、春の彼岸と秋の彼岸は気温が大きく異なります。従って、この言葉の真意は、暑さも寒さも、ある程度我慢すれば、後は楽になるよ!ということを諭した言葉だと感じます。

まさに、暑さや寒さに対する心の持ち方を説いている気がしますが、もともと日本人は、自然と共生しつつ、日常の生活をより快適にするために、心の在り方と共に、すばらしい生活の知恵をもっていたのですね。

気温により味わい方を変える日本酒も、その典型的な例だと思います。
暑い時には「冷酒」を飲みますが、それもさらに細かく、「雪冷え」「花冷え」「涼冷え」に分けられています。また寒い時期に好まれる「お燗」にも、「ぬる燗」「人肌燗」「熱燗」などの名前が付けられています。

これだけではありません。飲む雰囲気にも工夫が施され、素敵なネーミングが付けられています。例えば「花見酒」「月見酒」「雪見酒」のように。
日本人ならではの知恵と創意工夫で、暑さも寒さも快適に過ごしたわけです。

ところで、衣替えと共に、この時期になると、決まって話題に上がるのが「初鰹」ではないでしょうか?
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」。
江戸時代の俳人 山口素堂の有名な句ですが、特に江戸時代には、「初モノ」を食べると、75日寿命が延びるとされていました。

なぜ75日かと言えば、当時の死刑囚に対して町奉行が温情として、死刑が執行される前に死刑囚に好きなものを食べさせていたそうです。
そして、その死刑囚に対して、奉行が、「何か食べたいモノが有るか?」と尋ねたら、その死刑囚が、季節外れの食べ物を所望したため、それを手に入るまで75日要し、そこから75という数字が生まれたという説が有力です。

それにしても、その死刑囚は頭が良かったのでしょうね。
また、それを75日も要して叶えてあげた奉行も、さぞかし思いやりの心が旺盛だったことと思います。

そして、その初モノの中でも「鰹(かつお)」は、「勝男(かつお)」に繋がり、特に縁起が良いとされ、今でも、結納時や結婚式の引き出物には深い縁があります。

ただこのように大変縁起の良い初モノだけあって、当然、値段も張ります。
一般庶民には、とても簡単に手に入るモノではありません。

そこで、どうして手に入れたか?というと、「女房を質に入れても食べたい初ガツオ」という川柳が有ります。
「草食系の男」と「肉食系の女」という言葉が有る今とは、大きな違いです。

どちらが幸せかは解りませんが、いずれにせよ、時代がいくら変わっても、夫婦も、家族も、地域も仲良く暮らしていきたいものです。
そして自然とも仲良く暮らし、自然に対し真摯な態度で臨むべきだと感じます。

原発再稼働の話しが浮上しています。賛否両論に分かれるところでしょうが、先代の知恵や教訓にも、学ぶことが沢山あるような気がします。




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