コラム

 公開日: 2012-05-28 

マナーうんちく話249≪電話と対話≫

1876年にベルが「電話」を世に出して、1世紀半になろうとしていますが、その進歩は目覚ましい限りです。

ところで皆さんは「糸電話」をご存知でしょうか?
紙コップの底に糸を張り、他の紙コップとつなぎ、耳と口をコップに触れて、糸を通じて声を伝えるものです。小学校の理科の時間で体感された方もいるかもしれませんね。

では「呼び出し電話」はどうでしょうか?
日本で電話サービスが開始されたのは1890年ですが、一般的に普及したのは戦後です。
1950年頃は、電話は仕事上における連絡手段としては必需品になってきましたが、まだ一般庶民には、手の届きにくいモノでした。

だから、近所の裕福な家が電話を設置し、近所の人は必要に応じ、その電話を利用させていただくわけです。電話の所有者は近所の人に電話がかかる度に、その人を電話口まで呼び出しにいきます。そのため、電話は近所の人が利用しやすいように玄関に設置します。

こうして、向う3軒両簿なりを始め、さらに何軒かが加わり、一つの電話を仲良く利用していたわけです。想像できない方も多いと思いますが、当時はこれが普通で、電話が無くても、近所との絆は深く、豊富な対話があったので、不自由な思いはありません。


それから半世紀が経過した今、日本は民主主義と市場経済がすっかり浸透し、平和で豊かになりました。さらに科学技術が飛躍的に進歩して大変便利な時代になりました。

固定電話はおろか、携帯電話やスマートフォンが日常的な光景になりました。
ある調査によると、携帯電話の保有率は9割近くになり、一日の平均使用時間が51分、20歳代の人においては122分だとか・・・。
多くの人が便利さを享受しているようです。

しかし、それとは裏腹に、今の日本が直面している深刻な課題は多々あります。
自殺・離婚の増加。晩婚化と難婚化と未婚化現象。若者の早期離職。子供の不登校やいじめ。学校崩壊等など。ほとんどコミュニケーションの欠如によるものです。

本来。民主主義も市場経済も科学も、人の幸せを願うものです。確かに、その恩恵は素晴らしいモノが有りますが、反面、深刻な問題を引き起こしていることも多くあります。

携帯電話の使用時間は益々伸びていますが、家族や友人等との対話は減少し続け、コミュニケーションの苦手な人が非常に増えているような気がします。
最新情報機器が自由自在に操れても、人と人との対話が苦手では本末転倒です。

情報機器の発達と共に、人の精神的な側面もそれに伴うべきだと感じますが、現実的には、ここが大いに欠如していると思えてなりません。「和する心」が失せて「孤立社会」「無縁社会」現象が蔓延しています。由々しきことです。

携帯電話やスマートフォンもさることながら、「対話」をお勧めします。
機械との関わりより、人との関わりをお勧めします

様々な人との対話は、とても大切です。
しかし、対話の重要性は理解できるが、具体的にどうしたら良いか解らない人も多いと思います。では、どうするか?

先ずは自分から話しかけて下さい。
とにかく、直接人と会って、話す。これに尽きると思います。
とりあえず、身近な人から始めて下さい。
ビジネスでもプライベートでも、信頼関係は対話からです。
対話が有って心が通います。目を見て、しっかり話をして下さい。

また、相手から挨拶されたら、それを受けるのではなく、先ず自分から先に挨拶して下さい。自分から先に心を開いていくことです。上に立つ人ほど率先して頂きたいことです。

日本は、明治維新を境に大きな転換期を迎えました。洋服・洋食・洋楽さらにマナーやエチケット等の西洋文明を広く取り入れました。電話もそうです。

このように、日本は多くの文明を受け入れたわけですが、その根底には、他者とのコミュニケーションの大切さが潜んでいたのではないでしょうか?
だから、欧米式挨拶の「握手」も、あえて取り入れたわけです。

今の情報機器の進展は素晴らしい限りですが、機械のみが独り歩きして、それを使用する人間の精神的側面が追い付いていないように思います。
他者との、「思いやり」「尊敬」「感謝」に満ちた対話の大切さを再認識したいものです。

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マナー講師 平松幹夫

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