コラム

 公開日: 2012-04-18 

マナーうんちく話228≪マナーは教養の代名詞≫

日本の義務教育や高校の進学率は世界屈指ですが、大学への進学率も戦後、上昇の一途を辿り、今や短大・大学の進学率は60%に至るまでになりました。

短大・大学の進学率もさることながら、大学の数や学部の数も、我々の時代とは比較にならないほどですが、それでは世間にそれだけ教養人が増えたということでしょうか?
私は必ずしもそうは思いませんが、皆様方は如何でしょうか?

ところで「教養」とは、辞書で調べてみると「個人の人格に結び付いた幅広い知識や行動」とありますが、大変広義な意味で使用されるケースが多いですね。更に時代によりその解釈も異なります。例えば昔の貴族階級や武士階級の人達の間では、教養とは短歌・茶道・華道・礼儀作法などが含まれていたようですが、中でも礼儀作法は教養の大きなウエイトを占めていたようです。

聖徳太子が当時の高級官僚に発した、「17条の憲法」「冠位12階位」は、日本における成文化された最初のマナーだと言われていますが、当時の役人にとっては、これに精通することが出世の必須条件であったわけですね。

なぜなら当時の礼儀作法は、法律とも非常に密接な関係に有り、政治の根幹をなすものだったからに他なりません。そして平安時代の貴族社会では「公家有職」が、室町時代には「武家故実」が、やがてこれらが融合した「有職故実」と呼ばれる、多様なマナーをきちんと伝える仕事が生まれてきました。

また、江戸時代の教養人と言えば武士階級になりますが、当然、漢文や儒教と共に礼儀作法にかなりの価値観が置かれ、平和で秩序正しい社会を維持していました。

例えば「主君に対しては絶対的な忠誠を尽くす」「組織内では和を保つ」等などですが、諸大名が将軍に拝謁する時に、「私はあなたに忠誠をつくしますよ」と言う気持ちを形に表すために「正座」という作法が生まれています。

さて、当時の武士は今でいう公務員のようなものですが、今より比較にならない位の堅苦しい礼儀作法が要求されていたようです。それらは、組織内での円滑な人間関係の維持というより、武士としての教養やプライドとして身につけなくてはならなかったと思います。

さらに江戸中期の頃になると庶民の暮らしが安定してくるわけですが、暮らしが安定すれば、次に礼儀作法に価値観がおかれるようになってきます。すでに何度もお話しした「衣食足りて礼節を知る」です。

以前「丁稚奉公」のお話しをしましたが、江戸時代には「武家奉公」も有りました。
庶民、主として女性が結婚する前に、武士の家に入り込み、家事をしながら礼儀作法を修得するのが目的です。一般庶民の年頃の女性にとって、武士の家は、現在の「花嫁学校」や「自分磨きの場」であったことが推測されます。

そうして、総人口の9割以上占める一般庶民階級にも礼儀作法が徐々に広まり、庶民階級独特のマナーが数多く誕生するようになってきますが、武家階級が「教養」としてマナーを身に付けたのに対し、庶民階級は「他者への思いやり」としてマナーを修得しました。

その庶民階級の「思いやりとしての礼儀作法」が、このコラムでもたびたび取り上げた「江戸しぐさ」です。そしてマナーに関する書物も数多く発刊され、日本人独特のマナーが確立されてきます。それは、家長が絶対的な権限を有した男尊女卑的なマナーで、今でも接待、食事、婚礼、年中行事等と日常生活全般に及んでいます。

最も今は、明治維新とともに欧米諸国からもたらされたマナーも大きなウエイトを占めていますので、当時とは比較にならないほど複雑になっています。
TPOに応じた適切な判断基準を持たなければなりません。

この点から言えば、今の日本人は多くの教養を身につける必要が有ると言うことです。
つまり、明治まで日本に浸透していた「和の礼儀作法」と、国際化に対応する「プロトコール」を身につけることが求められてきます。


現代社会では、「教養が有る人」とは、常に良好な人間関係を築き、人から尊敬され、社交の場では丁寧な言葉を使い、品の有る立ち居振る舞いができる人を指します。

一方、「教養が無い」と言われる人は、礼儀作法がなっていません。常識も持ち合わせてないし、人格にも問題が有ります。

「教養が有る人と無い人では、生きた人と死んだ人くらいの大きな違いが有る」と言われますが、新しいスタートを切るに当たり、どうか多彩な教養をどんどん蓄積して下さい。
「感謝の心」と「自尊心」に、「素敵な教養(マナー)」が加味されれば、鬼に金棒です。


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マナー講師 平松幹夫

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