コラム

 公開日: 2011-11-18  最終更新日: 2012-04-17

マナーうんちく話163≪華燭の典と初夜のマナー≫

【冠婚葬祭の知識とマナー39】 厳しい作法が課せられた江戸時代の上流階級の結婚式

今の結婚式は冠婚葬祭の中でも、当事者が主体的に行える儀式です。
そしてその特徴は、「自分らしさ」が尊重され、多種多様なスタイルになっており、さらにウエディング業界も、売り上げアップを目指し、あの手この手の戦略を展開しています。

ところで、昔の結婚式はどうだったのでしょうか?
先ず挙式ですが、挙式に宗教色が取り入れられたのは明治以降です。従って江戸時代の挙式スタイルは、一部の例外を除いて、宗教とは無縁な祝い事でした。

結婚式の執り行われる時刻も夕方からで、新郎の家に、新郎側と新婦側の正装した参列者が集い、新郎新婦が「三三九度の盃」を交わし、その後お馴染みの「高砂」が謡われて、それで終了です。今行われている「人前挙式」と主旨がよく似ています。

この「三三九度の盃の儀式」は、武家階級ではとても複雑な作法が存在していましたが、一般庶民は、精々、盃を交わす程度か、それさえ省略したケースが多いかったようです。つまり、一般庶民は、花嫁が花婿の家に行き、同居すれば、それで結婚成立です。

ちなみに夕刻から行われる結婚式は、華やかな宴を意味する「華燭の典」と言われています。日が暮れて執り行われる祝宴を演出する手法として、「絵ろうそく」が使用され、その華やかさを例えて、華燭の典と称したわけです。その宴に供される料理も、使用する食材、そのいわれ、料理方法等にとても厳しい決め事が有り品数も半端な数ではありません。

そしてその宴の最中に、「床入りの儀式」が執り行われ、それを媒酌人が見届けて、宴の席で参列者に報告し、改めて「目出度し」「目出度し」となるわけですが、この儀式にも様々な作法が決められていたようです。
例えば、夫婦の寝どこは北枕で、新郎が東側、新婦が西側と決められており、漆を塗った長い枕を使用していたようです。

ちなみに「床入りの儀式」とは「初夜の儀式」とも称せられ、新郎新婦が初めて肉体関係を結ぶことにより、夫婦という特殊な人間関係が成立し、それを公認する儀式のことです。
これにより、独身時代の「衣食住」のライフスタイルに、新たに「性生活」が加味され、やがて子どもが誕生し、子孫が繁栄し、血統や家が維持されるということです。
それゆえに、それに望む儀式はとても厳格に定められていたのではないでしょうか。

従って、「床入れの儀式」に望む花嫁は、それまでに他の男性との性交渉は当然あってはならないことです。それを意味する衣装が「白無垢」だったわけですね。

同じようなことがヨーロッパの王侯貴族などにも存在しております。「バージンロード」という言葉もありますし、純白のウエディングドレスもその名残だといわれております。

さらに江戸時代には、新郎・新婦の「寝るスタイル」まで決められていたというから驚きです。ちなみに、当時の新婦の品の良い寝方は「きの字」の形だそうですが、新郎のスタイルは刀の関係が有りより複雑だったとか・・・。

このように、厳粛に執り行われた結婚後、お城に勤務する新郎は職場で、新婦は家庭で、互いに大変厳しい礼儀・作法が要求されました。だから、当時の武家社会にとって、礼儀・作法は、日常生活における必需品であるとともに、教養としても必須科目だったわけです。
但し、それで、新郎新婦がハッピーになれたかどうかは別問題です。
結婚式はどうであれ、その後の二人の態度が大切であるということは、今も昔も変わりませんね。








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