コラム

 公開日: 2011-07-20  最終更新日: 2012-04-18

マナーうんちく話108≪鰻の旬、本当はいつ?≫

日本の伝統行事の中には、売上アップのために意識的に作られたものも多々あります。その走りが、江戸時代に平賀源内が推奨した土用の丑の日に食す鰻ではないでしょうか。
昨年は「暑気払い!鰻もいいけど甘酒もね・・・」というタイトルでコラムをお届けしましたが、今年はまた別の角度から鰻に触れてみます。

夏バテ防止に鰻が良いというのは、万葉の頃から庶民にも定着していたようで、それを商売の閑散期に利用した源内の発想は実に素晴らしいと思います。

私も、高校時代までは、夏と言えば、高梁川で、鰻や鮎等を捕っていました。
その頃は、鰻や鮎等はまだ養殖という概念はなく、天然モノが当たり前の時代でした。
従って私たちの舌は、いわば、本物の味で鍛えられてきたわけです。
しかし、今は全く様子が異なりましたね。

今、これだけモノが豊富になりましたが、天然の鮎や鰻を食せる人がどの位おられるでしょうか?そして鰻にせよ鮎にせよ、養殖モノと天然モノの、味の違いがわかる人がどの位おられるでしょうか。少し気になる所です。

ところで現在、日本の市場に流通している鰻は、殆ど養殖モノで、天然モノはごくわずかです。しかも、その天然モノの鰻も、高級料亭とか旅館などに買われてしまうので、口にするのは大変難しそうです。自ら、川や池で捕れば別ですが・・・。
ということで、今は、鰻のかば焼き=養殖の鰻のかば焼きといっても過言ではないようです。

しかし、其の養殖の鰻も高くなりました。
養殖ウナギの元になる「シラスウナギ」が品薄ですから、恐らくこの傾向は当分続くでしょう。しかも、今回、福島肉牛の放射能汚染疑惑で、消費者の牛肉離れがそれに拍車をかけるかもしれませんね。
一人前だけならまだいいですけど、大家族ですと大変です。
我が家はあまり鰻にこだわりませんので、かば焼きが欲しくなったら、鰻も食べますが、他にも秋刀魚・鯵・アナゴ等色々な味を楽しみます。
これが意外に美味ですよ。
そして、ビールや焼酎や冷酒にもとてもよく合います。

昔から、日本人は、松茸、数の子、ウニ、蟹、鰻などを過大評価する傾向に有ったと思います。更にその心理をうまく利用して、売る側が巧みな戦略を展開し、その時期になればそれらを食べなくてはならない気分に仕立てたと思います。
需要が集中するので価格も当然高くなる。無理が生ずる。これは感心しません。
勿論、多種多様な価値観が有ってしかりで、一概には言えませんが・・・。

不必要にブームに流されるより、賢い選択、賢い食べ方をお勧めします。
世界一飽食の国になっている今の日本には、鰻の変わりは結構あります。
問題は、調理の腕前です。出来合いの鰻のかば焼きではなく、それに替わる料理が、家庭の台所で作れるお母さんは素敵です。

また、味覚を磨くこともとても大切です。
特に日本は四季に恵まれ、それぞれ旬の食材が豊富な国です。旬の味覚は人を幸せにしてくれます。それが充分理解できなかったら勿体ないことです。
そして、それぞれの食材の旬を正しく理解し、調理に創意工夫を凝らし、美味しく食べてあげることこそ、食材に対する大切なマナーではないでしょうか?

ちなみに、天然の「鰻の旬」をご存知でしょうか?
夏ではありません。秋から初冬にかけてです。

以前テーブルマナーのコラムで、家族がハッピーで有るには食卓が大切だと申しました。
食卓を「憩いの場」「成長の場」にするには、それなりの知識・知恵・努力が必要です。
土用の丑の日の食卓に、鰻のかば焼きはなくとも、家族が共に揃い、明るく楽しく食卓を囲むことで、真のハッピーを自覚出来ることが、なにより大切ではないでしょうか。



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