コラム

 公開日: 2018-03-19 

マナーうんちく話1637《先祖に心を寄り添わせ、物事のもとになる種をまく春の彼岸》

「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、3月18日は「彼岸入り」で21日は「彼岸中日」(春分の日)です。

春分の日と秋分の日を中心に、前後3日間、合計7日間を彼岸と呼び一年に2回あります。
そして春の彼岸と秋の彼岸は似ている点もあれば大きく異なる点もあります。

異なる点は、春の彼岸と秋の彼岸では平均気温が10度くらい異なる点と、春の彼岸はこの日を境に夜が短く昼が長くなりますが、秋の彼岸は逆になります。

似ている点は、いずれも太陽が真東から登り真西に沈むことと、昼と夜の長さが同じになることです。

では彼岸に墓参りするのはなぜでしょう。
昔は煩悩に満ちたこの世(此岸)は東にあり、悟りを開いたあの世、つまりお釈迦様や先祖がすむ彼岸は西にあると信じられていました。

太陽が真東から登り真西に沈む彼岸の中日は、この世とあの世が一番近くなるから、先祖が眠っているであろうと思われるお墓にお参りするわけです。
「西方浄土」という言葉がありますね。

墓参りの際は墓の掃除をして、シキミや花や線香をお供えします。
次にしゃがんで手を合わせ、先祖の冥福を祈ればいいでしょう。
牡丹の花に由来する「牡丹餅」を昔はお供えしていましたが、鳥や野生動物が食い荒らすので今はお供えしないところも多くなりました。

ところで農家では、春の彼岸を境に色々な種をまき、秋に豊作を迎えたら、みんなで先祖や神様に感謝をささげてきました。

このような行事を通じて、貧しいながらも家族や地域の絆を維持し、深めてきたわけです。

しかし最近では孤独死、孤立社会、無縁仏などというゆゆしき言葉が多く聞かれるようになりました。

クリスマス、バレンタインデー、ハロウィンデーのような戦後欧米から入った行事は、巧みな営業戦略に乗り年中行事の中でも大きなウエイトを占めるようになりましたが、残念ながら彼岸の中日が「春分の日」や「秋分の日」ということも、彼岸が二十四節気の一つということも忘れ去られた感があります。

もともと日本は国土の7割以上を山林で覆われ、四季が豊かで、稲作を中心として栄えた国です。

米を主食にしているわけですから、彼岸の間位は、先人の自然に対する思いや、農業に対する思いに心を寄り添わせてみるのもお勧めです。

また「蒔かぬ種は生えぬ」といわれるように、彼岸を目安に、物事のもとになる様々な「種」をまくのもいいですね。

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