コラム

 公開日: 2017-11-23 

マナーうんちく話1565《「新嘗祭」と「勤労感謝の日」》

稲刈りを終えた田んぼが静かなたたずまいを見せております。
日本は「瑞穂の国」といわれるように、稲作を中心とした農耕文化で栄えた国ですから、米にまつわる行事が多々あります。

春には豊作を祈願する行事があり、秋には豊作に感謝する行事があるわけですが、中でも収穫を無事に終えて、それに感謝を込めて初穂をお供えする10月の「神嘗祭」はとくに有名です。

そして11月には、その年の収穫に感謝して、新しい穀物が有している力をいただき、生命をよみがえらすとともに、来年の方策を祈願するお祀「新嘗祭」があります。

これも国の大切な行事で飛鳥時代から延々と続いてきましたが、春に五穀豊穣を祈る祭りとは対照的な祭りです。
ちなみに「五穀」とは米、麦、粟、黍(きび)、豆を意味しており、長い間日本人の胃袋を満たしてきた貴重な穀物です。

中でも米は特に重要な穀物で、昔はこの新嘗祭が終わらないと新米は食べなかったそうです。

ところで昔は枡を使用した米を図る単位として「合」「升」が用いられていましたがご存知でしょうか?

「一合」は約150gで一回一人前でした。
一合の10倍が「1升」で、その10倍が「一斗」で、その10倍が「1石」と考えられており、一石は一人が一年間食べる量とされていたようです。
従って10万石の城下町なら10万人の人を養える収穫があったわけです。

しかし江戸時代には農家は朝から晩まで働きますが、自分が苦労して収穫したコメは年貢として納めるので、米のご飯を腹いっぱい食べられません。

今では健康のため白米のような炭水化物はほどほどにといわれていますが、昔は多くの人が白いコメのご飯を腹いっぱい食べるのが夢だったわけですね。

だから明治新政府が帝国海軍を起こした時、海軍の兵隊を募る際に「海軍に入れば米が腹いっぱい食べられる」と呼び掛けたそうです。

それにつられ多くの兵隊が志願したわけですが、米ばかり食べたので脚気にかかった人も多かったといわれています。
貧しい時代の悲しい物語ですね。

結局新嘗祭は戦前まで続くわけですが、終戦後の昭和23年に制定された法律により「勤労感謝の日」となり現在に至ります。

勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあうことを趣旨とした国民の祝日です。

昔はまさに「生きることは食べること」で、多くの人が農業に従事していたわけですが、次第に工業なども栄え、農業だけを対象にできないようになったから勤労感謝の日という名前になったのでしょう。

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