コラム

2016-09-21

マナーうんちく話1315《まことお彼岸入りの彼岸花》

四季が明確に分かれている日本には「風物詩」という美しい言葉が存在します。

風物詩は俳句の「季語」のように限定されたものと異なり、その季節特有の現象や文化や味覚や生物などと範囲がとても広いのが特徴だと思いますが、台風一過の今朝は、空気がとても澄んでいて空が高くなった気がしませんか。

9月20日は「空の日」でしたが、ちょうど「燕」が日本の空から南の空に向けて去っていく頃です。

最近は昔と異なり近代化の家が多くなり、燕が巣を作りやすい家が減少したせいで、燕の飛来数がめっきり減って来た感が有ります。

もともと農作物を食い荒らす害虫を食べてくれるので「益鳥」と言われていましたが、天敵から巣を守るためにあえて人の家に巣をつくることから、江戸時代になると「千客万来」「商売繁盛」の代名詞になりました。

だから日本人には昔から何かと親しまれてきましたが、その燕が冬を越すために南に帰るのはやはり寂しいもので、希望に満ちた春に比べれば、侘しささえ感じます。

台風は二度と来てほしくありませんが、燕は次の春に再度帰って来て欲しいものです。

ちなみに燕は二つに割れた尾が長いのが特徴ですが、男性の礼装で「燕尾服」はここから名付けられています。

ところで9月22日は「秋分の日」で「彼岸の中日」です。
秋の七草に続き「彼岸花」が咲き乱れる頃でもありますが、実った稲穂と満開の彼岸花は日本の秋を代表する風物詩と言えるのではないでしょうか?

別名「マンジュシャゲ」とも呼ばれ、赤い花を意味しますが、「天上の花」「天界の花」としてお目出度い花でもあります。

しかし有毒の花で、野獣から守るためにお墓の近くや畑に植えられたせいでしょうか?江戸時代から「死人花」「幽霊花」等と忌み嫌われることもあります。

同じ花でも好きな人も嫌いな人もいますが、彼岸花ほど極端な花はあまりないのではないでしょうか?

ちなみに「彼岸」とは「あの世」のことですから、誤って毒性の強いマンジュシャゲを食べたら「あの世(彼岸)」に行くことになるので、彼岸花と呼ばれるようになったそうです。

菊も本来は高貴な花なのですが、葬式の花と思っている人も多いようです。
なんだかこれとよく似ていますね。

そして空気が澄んでくるので空が高く感じるようになり、大魚が予想される鰯雲が現れます。
夏の雲は上下に伸びますが、うろこ雲や鰯雲のような秋の雲は横に伸びます。

昼と夜の長さが同じになる「秋分の日」を境に、鳥も花も雲も、夏と秋が入れ替わる頃ですね。さらに9月は「長月」とか「夜長月」と呼ばれるように、これから日毎に夜が長くなっていきます。

冒頭の句は戦前の日本の俳人種田山頭火の句ですが、彼の酒豪ぶりは半端では無かったようです。酒がおいしくなる季節でもありますが、飲み過ぎに気おつけて美食の秋をお楽しみください。

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