コラム

2016-07-16

マナーうんちく話1262《お世辞は言えて当たり前?》

物が豊かで平和で、民主主義が発達した今の日本では「権利」「自由」「個性」「自分らしさ」に重きが置かれています。

さらに、自分の意見をいかに主張出来るかも問われており、そのせいで「わしが」「私が」を連発して周囲の人に反感を買う人も珍しくありません。

聖徳太子が十七条の憲法の冒頭で「和を持って貴しとなす」と説いているように、日本人は「和の精神」を大切にしてきました。
そして自分を前に出すより、先ずは他者の存在を認め、敬意を払ったものです。

それは「話し言葉」にも表れています。
接客に携わっている方はおなじみだと思いますが、自分自身のことは「わしが」「私が」よりは、「私ども」「手前ども」と謙虚な表現をしています。

加えて、江戸時代の商人は「お世辞」を非常に大切にしたとか・・・。
つまり、挨拶はできて当たり前ですが、その後の言葉に、お世辞が加味されるかどうかが問われるということです。

ここでの「お世辞」は単に「おべっか」とか「ごますり」ではなく、挨拶のあとに、いかに「思いやりの言葉」が付け加えられるかです。

例えば「お早うございます」は言えて当たり前です。
この後に「今日も暑くなりそうですね」と、一言付け加えるとさらに良くなりますが、これで終わりではありません。

「その後お加減はいかがですか?」と、相手に対する思いやりの言葉が加えられます。

見えすぎたお世辞ではなく、相手のご機嫌を取り良い気分にさせる、比較的上級のコミュニケーションが要求されるということです。

このコラムでも依然触れましたが、江戸しぐさに「三つ心、六つ心、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる」説かれています。

3歳までに人としての心の大切さを教え、6歳までには箸使いや履き物の脱ぎ方や揃え方等の基本的なマナー、そして9歳までにはコミュニケーションの取り方を教えています。

ちなみにコミュニケーションの取り方こそお世辞の心得で、商売を志す若者は寺子屋で一生懸命習ったとか。

これくらいしないと当時の商人は成功しなかったのでしょうか?
そういえば「番頭」になるまでにはかなり競争の原理が働いたそうですよ。
今も同じですが・・・。

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マナー講師 平松幹夫

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