コラム

 公開日: 2015-10-24  最終更新日: 2015-11-10

4 仮登記だけでは時効にかかる

  バブル時代を思い出します。札束で顔を張るようにして,大金を出し,市街化調整区域内の農地のまとめ買いをしていた人物がいたっけ。その農地を,その地域が市街化区域になれば,転売することで大もうけしようとの考えでいたようですよ。でも,・・・・・
 市街化調整区域内の農地を,宅地に転用し,それを分譲する目的で,農地法第5条の転用許可が得らることを条件に,売買契約を結び、代金を全額支払い,買主の権利を保全する目的で所有権移転の仮登記を経由しているという取引は,現在でもみられる取引形態ですが,不動産業者の場合は5年間(一般消費者の場合で10年。ただし,民法改正後は5年間)で,この買主の権利である,買主の売主に対する農地法5条の許可申請協力請求権は、時効で消滅してしまいます。



  最高裁昭和50年4月11日判決は,「右許可申請協力請求権は、許可により初めて移転する農地所有権に基づく物権的請求権ではなく、また所有権に基づく登記請求権に随伴する権利でもなく、売買契約に基づく債権的請求権であり、民法167条1項の債権にあたると解すべきであって、右請求権は売買契約成立の日から10年(筆者注:商取引による場合は5年。商取引でない場合も、民法改正後は5年)の経過により時効によって消滅する。」と判示しているからです。

 要は,市街化調整区域が,線引きの見直しにより,市街化区域に変更になるのを,気長く待つという姿勢で,同地域内の農地を買い,仮登記を経ていても,時効でその権利が消滅すると,何もならないということです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

店舗外観を不正競争保護の対象にした初裁判

東京地方裁判所平成28年12月19日決定(仮処分決定)は、甲社が直接又はフランチャイズ契約により加盟店に営...

[ 会社関係法 ]

これからの契約実務⑤ 動機を書いて置けば、動機の錯誤で契約の取消し可能

 契約書に「契約の内容」としての「目的」を書いておけば、その目的が達成できないことが分かった時は、契約を「...

[ 債権法改正と契約実務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ