コラム

 公開日: 2010-12-14 

相続 68 寄与分はどうやって定められるのか?


1 共同相続人間の協議で定める。
 共同相続人間でする遺産分割協議の際、被相続人の財産の維持・増加に寄与した相続人(「寄与相続人」)がいるときは、共同相続人間の協議で、寄与分を定めることは、当然できます。

2 家庭裁判所の審判で定める。
 寄与相続人の寄与分を、共同相続人間の協議で定めることができないときは、民法904条の2の第2項の「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。」に基づき、家庭裁判所で寄与分を定めてもらうことができます。

3 寄与分を定める審判は、遺産分割の審判の申立がないと、申立はできない。
それは、寄与分が遺産分割の前提として具体的相続分を算定するためのものだからです(浦和家庭裁判所飯能出支部昭和62.12.4審判。最高裁判所事務総局家庭局『改正民法及び家事審判法規に関する執務資料』(昭56)等)。
要は、遺産分割から離れて、寄与分の定めだけを求めることは出来ないのです。

4 寄与分の申立に時間的制限を設けられる場合がある。
家事審判規則103条の4第1項は「家庭裁判所は、遺産の分割の審判手続において、その当事者が寄与分を定める審判の申立てをすべき期間を定めることができる。この場合において、その期間は、1箇月以上でなければならない。」と規定しており、同2項では「前項の規定に基づいて定められた期間が経過した後にされた寄与分を定める審判の申立ては、却下することができる。」とされていますので、寄与分の申立について期間が指定されたときは、その期間内に申立をしなければなりません。

5 寄与分の申立をすべき期間が定められた場合でも、その期間内に申立の準備ができないときは、期間の延長を申立てておくべきである
高松高裁昭和62.8.14決定は、寄与相続人からの期間延長の上申を認めずにした遺産分割の審判(したがって寄与相続人の寄与分は認められていない)を、寄与分の「申立てが遅滞したことにつき申立人の責めに帰すべき事由がある」とはいえないとして、取り消していますので、期間の指定を受けても、準備ができないときは、その事実を家庭裁判所に明らかにして、期間延長の上申をしておくべきです。

5 寄与分の申立は、遺産分割の抗告審でもできるか?
家事審判規則103条の4第3項は「第1項の期間が定められなかつた場合においても、遺産の分割の審理を著しく遅延させると認められ、かつ、申立てが遅滞したことにつき申立人の責めに帰すべき事由があるときは、家庭裁判所は、当該寄与分を定める審判の申立てを却下することができる。」と規定していますが、実務では、抗告審だから寄与分の申立を認めないと姿勢ではなく、高松高裁平成11.1.8決定や広島高裁平成6.3.8決定などは、遺産分割の抗告審での寄与分を定める審判の申立を認めています。

6 遺産分割終了後であっても、寄与分を定める申立は可能か?
前記最高裁判所事務総局家庭局『改正民法及び家事審判法規に関する執務資料』や学説は、消極説(できないと考える考え)が支配的です。


この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
相続税の節税を目的とした養子縁組は、無効ではない

最高裁判所第三小法廷養子縁組無効確認請求事件平成29年1月31日判決は、 養子縁組は,嫡出親子関係を創...

[ 相続判例法理 ]

検索エンジンでの検索結果を削除する請求ができる場合

1 事実関係①Aは、児童買春,児童ポルノに係る法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同...

[ 民法雑学 ]

新信託法の概要2

八 限定責任信託1 限定責任信託の意義これは、受託者が、信託事務を行う上で債務を負担した場合でも、受託...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

新信託法の概要1

一 信託の特徴 1 三者の関係信託には、委託者(甲)、受託者(乙)、受益者(丙)が存在する。この場合、...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

トラストミー

トラストミー 少し前の話である。どこかの国の首相が、どこかの国の大統領に対し、「トラストミー」と言ったと...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ