コラム

 公開日: 2010-12-12 

相続 66 特別受益者と寄与相続人が同一の相続人でない場合の計算方法


1 超過特別受益者がいない場合の計算方法(同時適用説)
計算方法については、特別受益に関する民法903条と、寄与分に関する民法904条の2の同時適用説が、実務で採用されていますので、これに基づき計算します。

相続人・・・・・・・・妻甲、子乙、子丙の3人
相続分(法定相続分)・・甲1/2、乙1/4、丙1/4
相続財産の価額①・・・6000万円
生前贈与②・・・・・・乙は1000万円の生前贈与を受けている。
寄与分③・・・・・・・丙には600万円の寄与分が定められた。

例の元での計算
みなし相続財産④・・・①+②(民法903条による)-③(民法904条の2による)の計算式により、6000万円+1000万円-600万円=7400万円になりますので、各相続人の一応の相続分と具体的相続分は、
甲・・・・6400×1/2=3200万円
乙・・・・6400×1/4-1000=600万円
丙・・・・6400×1/4+600=2200万円
になります。
なお、一応の相続分は、みなし相続財産に法定相続分又は指定相続分を乗じて算出された金額から特別受益額を控除した金額です。そして具体的相続分は、一応の相続分がマイナスになる相続人がいない限り、一応の相続分と同じ数字になります。このことは本コラム「相続 56」で解説したとおりです。

2 超過特別受益者がいる場合の計算方法(同時適用説)

相続人・・・・・・・・妻甲、子乙、子丙、子丁の4人
相続分(法定相続分)・・甲1/2、乙1/6、丙1/6、丁1/6
相続財産の価額①・・・6000万円
生前贈与②・・・・・・乙は1800万円の生前贈与を受けている。
寄与分③・・・・・・・丙には1200万円の寄与分が定められた。

みなし相続財産④・・・①+②(民法903条による)-③(民法904条の2による)の計算式により、6000万円+1800万円-1200万円=6600万円になり、
各相続人の一応の相続分は、
甲・・・・6600×1/2=3300万円
乙・・・・6600×1/6-1800=-700万円
丙・・・・6600×1/4=1100万円
丁・・・・6600×1/4=1100万円
一応の相続分は、前述のように、みなし相続財産に、相続分を乗じて算出された金額から、特別受益分を控除した金額です。
この例では特別受益は乙の生前贈与分1800万円のみですので、上記のような計算になります。

ところで、この例では、乙は一応の相続分がマイナスになりました。しかし、乙はそのマイナス分を返還する必要はありません。具体的相続分が0になるだけです。一応の相続分を算出した結果の乙のマイナス分は、次の具体的相続分を算出する際に、他の相続人が、一応の相続分の比率で負担することになります。したがって、次のステップである具体的相続分の算出は、(相続開始時相続財産の価額-寄与分)×各相続人の一応の相続分率で計算することになります。すなわち、
甲・・・(6000-1200)×3300÷(3300+1100+1100)=2880万円
丙・・・(6000-1200)×1100÷(3300+1100+1100)=960万円
丁・・・(6000-1200)×1100÷(3300+1100+1100)=960万円
になります。
これにより各相続人の最終の取得分は、
甲・・・2880万円
乙・・・0円・・・・・1800万円の生前贈与があるのみ
丙・・・960+1200=2160万円
丁・・・960万円
になります。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法改正が賃貸借契約に与える影響 4 原状回復の内容は具体的に書く

1 原状回復費用には自然損耗分は入らない 改正民法621条は、「賃借人は賃借物を受け取った後にこれに生じた損...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 3 賃料が当然に減額となる場合(改正)

1 民法611条の改正内容改正された民法第611条は、1項で、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 2 賃借人の修繕権(新設)

1 修繕権の創設改正民法607条の2は、「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、その修繕...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 1 賃貸借期間が伸長された

ガソリンスタンドの設置目的などに朗報1 現行法は20年、改正法は50年借地借家法の適用のない賃貸借契...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ