コラム

 公開日: 2010-12-11 

相続 65 特別受益者には、寄与分は認められないのか?


1 寄与相続人に与えた特別受益が、寄与の対価であると思えるときは、認められない
最高裁判所事務総局家庭局『改正民法及び家事審判法規に関する執務資料』(昭56)には、
「寄与した相続人に対して既に生前贈与又は遺贈がなされている場合において、当該生前贈与等が、明示的であるかどうかを問わず、寄与に対する実質的な対価としてなされたものであることが認められるときは、寄与分は認められないということになろう。」この場合は、「寄与の対価と認められる限度において、生前贈与等を持戻しの対象としない取扱をすることになるものと考えられる。」
と寄与分に関する解釈運用指針を示しています。

2 裁判例
東京高裁平成8.8.26決定は、夫である被相続人が生前妻へ土地を贈与していたことに関して、「妻として長年にわたる貢献をしてきた事実は認められるが、上記の贈与によって妻が得た利益を超える寄与があった事実は認めることができない。」として、寄与分を否定しました。ただ、この審判は、妻が受けた贈与については「暗黙のうちに持ち戻し免除の意思表示をしたものと解するのが相当である」として、寄与分を認めない代わりに贈与の持戻しを免除しています。
これは、実質的には、贈与財産を寄与分に対する対価と評価したとも言えるでしょう。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
相続税における「私道供用宅地の時価」の意味

相続税法22条及び評価通達は、相続税の対象になる財産の価額は相続時の時価によるものとすると定め、「時価」とは...

[ 民法と税法 ]

労働 歩合給から時間外手当(相当額)等を控除したものを賃金とする定めは有効

 最高裁判所第三小法廷平成平成29年2月28日判決は、タクシー会社が、従業員であるタクシー乗務員との雇用...

[ 労働 ]

同音異義語(追加1)

あからむ(赤らむ・明らむ)ア 赤らむ意味:色が赤くなること用例:顔が赤らむ熟語:赤面イ 明らむ...

[ 公用文用語 ]

労働 付加金の支払を命ずる場合の要件

労働基準法114条は、「裁判所は、・・・第37条の規定(筆者注:時間外、休日及び深夜の割増賃金に関する規定)に違...

[ 労働 ]

文科省「用字用語の表記例」から③ 漢字と仮名の使い分け

文科省の平成23年3月31日付「用字用語の表記例」には、次の語について、漢字で書く場合と仮名で書く場合があること...

[ 公用文用語 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ