コラム

2015-10-08

相続時精算課税って何?相続税対策になるの?

  ⑴ 相続時精算課税制度というのは、この制度を選択した場合は,親から子へ生前贈与をしても,一定の金額の範囲内のものなら贈与税はかからず、それを超えると超えた金額に20%の贈与税がかかるが,そのいずれの場合であっても,親が死亡して相続が開始した時に,その財産が存在したものとして,相続税の対象になり,過去に支払った相続時精算課税制度で納めた贈与税は還付されて清算されるという制度です。

  (2) この制度を利用するためには、受贈者が贈与税の申告時に選択届出書等を提出することが必要ですが、いったんこの届出をすると撤回が出来ません。
  (3) 相続時精算課税制度を利用すると、受贈者ごとに2500万円の特別控除額(財産によっては加算されます。)が認められますので、この範囲内の贈与であれば贈与税はかかりません。贈与税がかからない金額を引いた残りの贈与分の贈与税率は、一律20%です。

  (4) この制度を選択すれば、このときの贈与を含めそれ以後の子への贈与にかかる財産については,暦年贈与制度は利用できず,生前贈与をしたものは,すべて贈与時の価格で相続税の対象となる遺産に含められます。したがって、この制度を選択すると、生前贈与をすることにより相続時に課税対象となる遺産を減らして相続税を節税するというプランは立てられないことになります。
  (5) さらに、贈与された不動産については相続税の場合に認められる小規模宅地の評価減の適用は受けられず、贈与された財産については物納も認められないのです。さらに贈与された財産が未上場株式の場合評価減も認められません。
  (6) 不動産の贈与を受けた場合の登録免許税が、相続なら0.4%なのに贈与では2%となり、不動産取得税が、相続ならかからないのに贈与では3%かかるなどの問題もあります。
  (7) しかし、贈与財産が相続時までに値上がりしている場合は、相続税の課税価格は贈与時の価格で計算されますので、得になります。逆に値下がりしているときは損になります。

⑻ 結論としては,相続時精算課税制度では、贈与した財産の価格が贈与時の価格で相続税の課税価格に算入されますので、値上がり確実な未上場株式や土地などを生前贈与する場合などは有利な制度と言えますが、一般には、親が資産家で相続人に高額の相続税がかかる場合は、相続時精算課税制度を利用しないで、毎年110万円の贈与税の基礎控除額や低率の贈与税率の範囲での贈与を継続した方が有利となる場合が多いでしょう。逆に、相続税があまりかからない場合は、相続時精算課税制度を選択すれば、相続発生前に、贈与税をあまり気にしないで、親から子に財産の移転が可能になりますので、子が財産を必要としている場合には有効だと思います。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
金融機関は遺言書とどう向き合うべきか?① 金融機関が考えるべきこと

 預金者が亡くなり,その預金を相続し,又は遺贈を受けたという者が,遺言書を持って,金融機関の窓口に現れた場...

[ 相続相談 ]

モデルルームでの不動産売買契約とクーリングオフ

Q 当社は,某宅建業者がマンションを建築販売する話を聞き,モデルルームを見学に行き,その場で投資用にマンシ...

[ 不動産 ]

開発許可にかかる工事を完成し検査済証を交付された後でも,開発行為取消訴訟は起こしうる(判例)

Q 市街化調整区域で開発許可の要件を欠いた業者が,開発許可を受け開発行為に関する工事を完了し検査済証を交付...

[ 不動産 ]

抗告状に貼付すべき印紙を貼付しなかった場合の瑕疵とその治癒に関する判例紹介

1 問題点①Aが訴訟救助の申立てをした。➁Aの申立ては却下された。③Aは却下決定に対する抗告をしたが,...

[ 民法雑学 ]

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果(判例まとめ)

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果について判示した,4件の最高裁判所第三小法廷平成28年1月12日...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ