コラム

 公開日: 2010-12-13 

相続 67 被相続人の死後の相続財産の維持・増加への寄与は「寄与分」ではないのか?


1 寄与の基準時
   寄与があったかどうかの判断の基準時は、相続開始時です。相続開始後の貢献は、寄与分として評価されません。
 東京高等裁判所昭和57.3.16決定は、
「いわゆる寄与分とは、共同相続人の一部の者が被相続人の財産の維持又は増加に対し通常の程度を超えて寄与した場合に、遺産分割に際し、相続開始時における具体的相続分を算定するにあたり、共同相続人間の衡平を図る見地から、特別受益と同様に、その寄与を評価すべきものとされるものにほかならないから、相続開始時を基準としてこれを考慮すべきであつて、相続開始後に相続財産を維持又は増加させたことに対する貢献は寄与分として評価すべきものではないと解すべきである。なお、相続財産の管理のために現実に要した費用は、遺産分割に際してあわせて清算されるとしても、管理により増加させた相続財産の価値については、相続財産に関する費用に準じて、分割時にこれを清算すべきであるとする法的根拠を見出すこともできない。」
と判示しているとおりです。

2 例外的取扱い
東京高等裁判所昭和54.3.29決定は、 寄与分でいう相続人の寄与とは、相続の開始後において遺産の維持・管理のためになされた共同相続人の協力のことを指すものではない、としながらも、相続人Aが、相続開始後、大学を中退して被相続人である父の家業を引き継ぎ、他の相続人の協力を得てこれに専念し、その収益で一家の生計を支え、他の相続人らの学資を工面し、家業の経営が思わしくなくなつた後においても、高等学校教諭の職に就いて副業となつた家業の経営を続け、数次にわたつて遺産である建物を改修あるいは増築してその保存を図り、また遺産である借地の賃料を支弁し、公租公課等を負担してきた事実を認定した上で、これら遺産が分割時において高額な評価を得るに至つたことについては右相続人の有形無形の貢献によるところが大きいとして、右貢献度を金銭に見積り、予め遺産から控除するのが相当であると判示し、事実上、相続開始後の寄与分を認めています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
これからの契約実務⑤ 動機を書いて置けば、動機の錯誤で契約の取消し可能

 契約書に「契約の内容」としての「目的」を書いておけば、その目的が達成できないことが分かった時は、契約を「...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務④ 金銭消費貸借契約では,諾成的契約が可能になる

現行法の下では、金銭消費貸借契約は、要物契約、つまりは、現金を交付することで成立する契約になっていますが、...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務③ 自殺の履歴が契約解除の理由になる

現行法にあっては、契約を解除するには、債務者の帰責性(故意又は過失)が必要です(民法543条ただし書)。しか...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務② 「契約の内容」の書き方

目的や動機、契約に至る経緯を書くことの重要性これは、以前(2014-01-06)、コラムに書いたことですが、 最高...

[ 債権法改正と契約実務 ]

宅建業者の重要事項説明義務違反の一事例 税制度の説明の過誤

 東京地裁昭和49年12月6日判決は、不動産の所有者である甲(大学教授)に対し、同人が所有する土地(固定資産)...

[ 不動産 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ