コラム

 公開日: 2015-09-29 

親権者を定める協議が成立していない離婚届の有効性と事後の手続

結論
① 離婚は有効だが,親権者指定は無効。
➁ 親権者は,改めて,協議又は審判(調停を含む。)で決め,その旨離婚届出を追完すること。

 民法819条1項は,「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」と規定し,民法765条1項は,「離婚の届出は、・・・第819条第1項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。」と規定しています。
しかし,民法819条2項は「離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。」とも規定しています。
 名古屋高裁昭和46年11月29日判決は,夫婦の一方である甲が,親権者指定欄を空欄にしたまま署名押印したものを,他方である乙が,勝手に二人の子の親権者を乙とする記載をなして届出をしたと認定した事件で,離婚は有効だが,親権者指定は無効だと判示しました。
 その場合の,後の届出はどうなるのか?

 
 同判決は,「本件協議離婚の効力は、親権者を定める協議が成立していないにかかわらず成立したもののごとく離婚届書に記載せられそのまま受理せられたとの一事により何ら妨げられることはないというべきである。よつて、本件協議離婚は無効ではなく、その無効確認を求める控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものである。」と判示した後で,「(なお、本件においては、離婚後親権を行使すべき者が定められないまま協議離婚の効力が発生したのであるから、二子については控訴人、被控訴人の共同親権が現に継続中である。従つて当事者は戸籍訂正の手続により現に存する被控訴人を親権者と定める旨の戸籍上の記載を抹消したうえ、協議によりあらためて親権者を定め、その届出を追完すべきものである。右念のため付言する。)」と判示しています。

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