コラム

 公開日: 2010-12-01 

相続 56 特別受益となる「贈与」の中味


民法903条でいう特別受益になる「贈与」とは「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」の贈与をいいます。

1 贈与の内容を限定した理由
相続人間の公平という理念を徹底させれば、相続人に贈与された物はすべて持戻しの対象になる特別受益にしてもよいことになりますが、
① あらゆる贈与を特別受益とすると計算が複雑になること、
② 被相続人も少額の贈与までは特別受益として持戻し計算をすることを求めてはいないと推測できること
から、一定範囲の贈与に限って特別受益にした、とされています。

2 婚姻もしくは養子縁組のための贈与
持参金、支度金、結納金がこれに含まれます。

3 結婚式の費用は特別受益か?
一般には、特別受益ではない、とされています。一般的な結婚式の費用は、本人の利益というより親の世間に対する社交上の出費としての性格を帯びるからです。

4 生計の資本としての贈与
これについては、特別受益とされる範囲が広いとされています。

5 相続人の借金の尻ぬぐい
これは生計の資本とはみないとされています。

6 学資
親の資産や社会的地位を考えると、その程度の高等教育は当然だと思われるものは、親の扶養義務の範囲に入り、特別受益ではないとされますが、それを超えたものは特別受益とされます。子が共同相続人で、その間で特に不公平な学資の支援がない限り、学資については全員について特別受益と扱わないという事例もあります。

7 扶養
扶養は特別受益にはならないとされています。ですから、病弱な子の病気療養ならびに相当の生活を維持するための生涯の扶養の意味での贈与は特別受益にはならないとされた例(東京家庭裁判所昭和47.11.15審判)もあります。
配偶者への財産の清算の意味と老後の扶養の意味での贈与は特別受益にならないとする見解もあります。

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