コラム

 公開日: 2010-11-29 

相続 55 昨日の続き


昨日のコラムの続きです。
【A宅地を遺言により遺贈した場合】

第1 特別受益の持戻しをする場合
1 夫が死亡
 相続人・・・妻と嫡出の長男と嫡出の長女の3人
 法定相続分又は指定相続分・・・遺言による相続分の指定はないので、法定相続分が適用・・・妻1/2、長男1/4、長女1/4
 相続開始時の相続財産・・・1億000万円(a)で負債は0

3 みなし相続財産額
相続開始時の相続財産額に贈与の価額を加算したもの・・・(a)+0=1億円

4 仮の相続分の計算
みなし相続財産額に法定相続分又は指定相続分を乗じた金額を各相続人ごとに算出)
妻の仮の相続分は、1億円の1/2(法定相続分)=5000万円
長男の仮の相続分は、1億円の1/4(法定相続分)=2500万円
長女の仮の相続分は、1億円の1/4(法定相続分)=2500万円

5 具体的相続分の計算
相続人ごとに、仮の相続分から特別受益金額を控除した数字
この事例では、特別受益者は長男のみ。
妻の具体的相続分・・・5000万円-0=5000万円
長男の具体的相続分・・・2500万円-遺贈分6000万円=-3500万円(マイナスの数字は0と扱われる「相続53」参照)
長女の具体的相続分・・・2500万円-0=2500万円
これによる具体的相続分率は、
妻・・・5000÷7500
長女・・2500÷7500

6 各相続人の最終の取得分
相続開始時の相続財産×具体的相続分率
妻・・・4000万円×5000÷7500=2666万円
長女・・4000万円×2500÷7500=1333万円
で分け合います。

7 遺産分割協議
 以上までの計算で、相続開始時の相続財産1億円については、そのうち6000万円相当のA宅地が長男に遺贈され、遺産分割協議時の相続財産4000万円からは、妻が2666万円、長女が1333万円を取得します。
妻と長女は、その後で遺産分割協議に入ります。

第2 長男への遺贈分につき持戻し免除された場合
1 具体的相続分
この場合は、第1の5の各相続人の具体的相続分の計算から違ってきます。
すなわち、具体的相続分は、相続人ごとに、仮の相続分から特別受益金額を控除した数字を意味しますが、この事例での唯一の特別受益者である長男への遺贈が、持戻し免除されましたので、結局、仮の相続分から控除するものはなく、具体的相続分は仮の相続分と同額なり、
妻の具体的相続分は、1億円の1/2(法定相続分)=5000万円
長男の具体的相続分は、1億円の1/4(法定相続分)=2500万円
長女の具体的相続分は、1億円の1/4(法定相続分)=2500万円
になります。

2 後の計算
この具体的相続分率は、法定相続分と一致しますので、
各相続人の最終の取得分は、相続開始時の相続財産4000万円の法定相続分を乗じた金額すなわち、
妻・・・4000万円×1/2=2000万円
長男・・4000万円×1/4=1000万円
長女・・4000万円×1/4=1000万円
になります。
長男は、別に時価6000万円のA宅地の遺贈を受けていますので遺留分侵害の問題はなく、妻と長女の遺留分が侵害されていることと、後の考えは、昨日のコラムで解説したところです。

ご相談は弁護士法人菊池綜合法律事務所へ!

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
先進各国のコーポレート・ガバナンスの今

1 わが国の場合 わが国では、バブル経済の崩壊後、一気に会社経営者の不祥事が表面化して、「ガバナンスに問...

[ 会社関係法 ]

「所有と経営の分離」と「所有と支配の分離」

1 所有と経営の分離英語では、株主をshareholder(シェアホルダー)といい、社債権者をbondholder(ボンドホル...

[ 会社関係法 ]

コーポレート・ガバナンスとエクイティ・ファイナンスとの関係

コーポレート・ガバナンス(corporate governance)とは、「企業統治」とか「会社の運営機構」などと訳されてい...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは、何?⑪ ついに自治体の長の義務にもなる

会社の取締役の、内部統制システム整備義務は、自治体の長の義務にもなった。すなわち、平成29年6月2日に,地方自...

[ 会社関係法 ]

ロータリーの卓話から 倉敷もん

本日、聞いた卓話、面白かったので、紹介します。題して「倉敷もん」日本人は、「道」が好き。茶道、柔道、...

[ その他 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ