コラム

 公開日: 2010-11-27 

相続 53 超過特別受益者


特別受益者のうちで、本来の取得分ともいうべき「具体的相続分」がマイナスになる相続人は、「持ち戻すもの」が「もらえるもの」を超えていることになりますので、言わば「もらいすぎ」になった状態になっている、とも言えることから、そのような特別受益者のことを「超過特別受益者」といいます。
この場合は、各相続人の「具体的相続分」と「最終の取得分」とは違ってきます。
これも事例で説明します。

1 夫が、生前、長女に時価2000万円の財産を贈与・・・(a)

2 夫が、「長男にA宅地(時価5000万円相当)を遺贈する。」という遺言を書いた。(b)

3 夫が死亡
 相続人・・・妻と嫡出の長男と嫡出の長女の3人
 法定相続分又は指定相続分・・・遺言による相続分の指定はないので、法定相続分が適用・・・妻1/2、長男1/4、長女1/4
 相続開始時の相続財産・・・1億円(c)

4 みなし相続財産額の計算・・・(a)+(c)=1億2000万円

5 仮の相続分の計算(みなし相続財産額×法定相続分又は指定相続分)
妻の仮の相続分は、1億2000万円の1/2(法定相続分)=6000万円
長男の仮の相続分は、1億2000万円の1/4(法定相続分)=3000万円
長女の仮の相続分は、1億2000万円の1/4(法定相続分)=3000万円

6 具体的相続分の計算(みなし相続財産額-遺贈分と生前贈与分)
妻の具体的相続分・・・6000万円-0=6000万円
長男の具体的相続分・・・3000万円-遺贈分5000万円=-2000万円
長女の具体的相続分・・・3000万円-受贈分2000万円=1000万円

7 具体的相続分がマイナスになっても、財産の返還義務はない。
民法903条2項は「遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。」と定めていますので、具体的相続分がマイナスになったからといって、そのマイナス分を他の共同相続人に返還する義務はありません。これ以上は相続財産の中からもらえないというだけです。
その結果、
妻の具体的相続分・・・6000万円-0=6000万円
長女の具体的相続分・・・3000万円-受贈分2000万円=1000万円
を考えるだけで良いことになります。
妻と子の具体的相続分割合は、妻が6000/7000で、長女が1000/7000です。

8 最終の取得分
これは、遺産分割時の相続財産額に具体的相続分率を乗じたものですが、遺産分割時の相続財産は相続開始時にあった1億円から遺贈分を引いた5000万円ですので、
妻の最終の取得分・・・5000万円×6000÷7000=4285万円
長男の最終の取得分・・・=0
長女の最終の取得分・・・5000万円×1000÷7000=714万円
になり、

9 夫のこれまでの財産1億2000万円は、
妻・・・・4285万円(相続分)
長男・・・5000万円(遺贈分)
長女・・・714万円(相続分)+2000万円(生前贈与分)=2714万円になるのです。(数字は四捨五入していますので、合計は1億1999万円になります。


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