コラム

 公開日: 2015-07-24 

地方行政 村外にでた業者を指名競争入札から外す行為が違法とされたケース

最高裁判所平成18年10月26日判決は,
①普通地方公共団体の締結する契約については,その経費が住民の税金で賄われること等にかんがみ,機会均等の理念に最も適合して公正であり,かつ,価格の有利性を確保し得るという観点から,一般競争入札の方法によるべきことを原則とし,それ以外の方法を例外的なものとして位置付けているものと解することができる(地方自治法234条1項,2項及び地方自治法施行令167条)。
➁公共工事の入札等について,入札の過程の透明性が確保されること,入札に参加しようとする者の間の公正な競争が促進されること等によりその適正化が図られなければならない(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律3条)。また,指名競争入札の参加者の資格についての公表や参加者を指名する場合の基準を定めたときの基準の公表を義務付けていることから,普通地方公共団体が締結する公共工事等の契約に関する入札につき,機会均等,公正性,透明性,経済性(価格の有利性)を確保することを図ろうとしているものということができる。
③甲 村においては,従前から,公共工事の指名競争入札につき,村内業者では対応できない工事についてのみ村外業者を指名し,それ以外は村内業者のみを指名するという運用が行われていたが,確かに,地方公共団体が,指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり,〔1〕工事現場等への距離が近く現場に関する知識等を有していることから契約の確実な履行が期待できることや,〔2〕地元の経済の活性化にも寄与することなどを考慮し,地元企業を優先する指名を行うことについては,その合理性を肯定することができるものの,〔1〕又は〔2〕の観点からは村内業者と同様の条件を満たす村外業者もあり得るのであり,価格の有利性確保(競争性の低下防止)の観点を考慮すれば,考慮すべき他の諸事情にかかわらず,およそ村内業者では対応できない工事以外の工事は村内業者のみを指名するという運用について,常に合理性があり裁量権の範囲内であるということはできない。
④甲 村では,資格審査要綱において村内業者と村外業者とが定義上区別されているものの,その運用は,村内業者で対応できる工事はすべて指名競争入札とした上で,村内業者か否かの判断を適当に行うなどの方法を採ることにより,し意的運用が可能となるものであって,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の定める公表義務に反し,同法及び地方自治法の趣旨にも反するものといわざるを得ない。
⑤一方,乙は,平成6年の代表者等の転居後も含めて長年にわたり村内業者として指名及び受注の実績があり,同年以降も,甲 村から受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれず,地元企業としての性格を引き続き有していたともいえる。また,村内業者と村外業者の客観的で具体的な判断基準も明らかではない状況の下では,乙について,村内業者か村外業者かの判定もなお微妙であったということができるし,仮に形式的には村外業者に当たるとしても,工事内容その他の条件いかんによっては,なお村内業者と同様に扱って指名をすることが合理的であった工事もあり得たものと考えられる。
⑥このような乙につき,上記のような法令の趣旨に反する運用基準の下で,主たる営業所が村内にないなどの事情から形式的に村外業者に当たると判断し,そのことのみを理由として,他の条件いかんにかかわらず,およそ一切の工事につき平成12年度以降全く乙を指名せず指名競争入札に参加させない措置を採ったとすれば,それは,考慮すべき事項を十分考慮することなく,一つの考慮要素にとどまる村外業者であることのみを重視している点において,極めて不合理であり,社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ない。
⑦原判決のうち同年度以降の指名回避を理由とする損害賠償請求に関する部分は破棄を免れない。
と判示しました。
 この判決は,公共工事は一般競争入札が原則的契約方法であること,村外に出た業者を,合理的理由なく村外会社だという理由で指名の対象から外すのは,違法だと判示したのです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
独禁法って何だ?4 公取委から人がやってきたとき・独禁法と下請法との関係・下請法版リーニエンシー

8 会社が公取委から事情聴取の申込みを受けた場合「のう、後藤よ!会社にとっては、あまり嬉しくもないことだ...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

独禁法って何だ?3 課徴金対象行為・課徴金減免措置・カルテル防止義務

5 課徴金の対象となる行為と課徴金額「課徴金が課せられるという場合、どのくらいの金額になるのかのう。」...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

独禁法って何だ?2  証券会社の損失補填事件

4 証券会社の損失補填事件「のう、後藤!独禁法の規定は、不明確な用語が使われていて、意味が分かりにくいと...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

第2章 1遺産分割 2具体的相続分(金額)を決める三つの方法(2)特別受益の持戻し計算型
イメージ

【補説】生前贈与を受けている相続人は、その生前贈与分を、相続の先渡しを受けたものとして、具体的相続分...

[ イラストによる相続法 ]

独禁法って何だ?1 独禁法・公取委・課徴金

「のう、後藤よ!独禁法って何だ?」「独禁法(正しくは「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)は...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ