コラム

 公開日: 2015-05-15 

債権法改正 損害賠償の範囲等に関する規律の改正

1 特別損害の範囲を主観的基準から客観的基準に
 改正後の民法第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
  2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

コメント
 1項は改正なし。2項は,現行法の「予見し、又は予見することができたとき」を「予見すべきであったとき」に改めたもの。これは,損害賠償の対象になる特別損害は,損害賠償をする主人公(債務者)が個人的経験事実として「予見し、又は予見することができた」損害とするのではなく,当該契約関係における当事者なら,当然「予見すべきであった」損害とするもの。債務者の主観ではなく,当事者の立場から規範的な評価ができる損害にするべきだという考えである。

2 過失相殺の対象を損害の拡大部分にまで広げる
 改正後の民法第418条 債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

コメント
 現行法の「債務の不履行に関して」を、「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して」に広げ、判例法を明文化したもの。

3  賠償額の予定を裁判所が制限できることにした
民法第420条第 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。

コメント
 現行法は、これに引き続いて「この場合おいて、裁判所は、その額を増減することはできない。」という 文(後段)を置いているが、改正法は、この後段を削除することにしたもの。実は,現行法の下でも裁判例は、予定された損害賠償額のうち著しく過大と認められる部分を民法90条の公序良俗違反を理由に無効とする実務が定着しているところから、後段を削除したものである。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺言執行者制度は機能しているか?⑤ 相続人代理人説は、観念の惑いが生んだ天動説

5 相続人代理人説は、観念の惑いが生んだ天動説 民法1015条の「遺言執行者は相続人の代理人とみなす。」と...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?⑤ では、判例はどうか?

5 では、遺言執行者相続人代理人説は、判例では認められているのか?(1)相続人の遺言執行者に対する相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?④ 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するか

4 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するのか(1) 遺言執行者は相続人の代理人なのか?遺言...

[ 相続判例法理 ]

民法雑学 不当利得返還請求権の消滅時効は、権利発生の時から、進行が開始する

先日、45年前の子供の取り違えによる債務不履行を原因とした損害賠償請求権の時効は、取り違えを知った時から、消...

[ 民法雑学 ]

遺言執行者制度は機能しているか?③ 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え

3 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え日弁連・懲戒委員会は、(1) 民法1015条が「遺言執行者...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ