コラム

 公開日: 2015-05-07  最終更新日: 2015-05-11

債権法改正 質問の1 善意と善意無過失の違い

本コラムは,本年2月に公表された債権法改正要綱案を前提にしています。
要綱案は,その後,本年3月31日に債権法改正案になって国会に上程され,現在審議中です。
要綱案と改正案では,実質的な違いはありませんが,部分的には,用語や表現が違うところがあります。
いずれ,本コラムは,法律改正がなされた後で,正しい条文を紹介した上で,補足させていただく予定です。
それまでの間,要綱案の説明で,ご容赦ください。

Q 改正法民法93条(心裡留保)は,
(1) 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
(2) (1)ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
という規定であるが,
(1)の「相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたとき」という言葉の意味,と(2)の「善意の第三者」という場合の「善意」の意味を教えてほしい。また,「悪意又は重過失」という言葉が使われる場合もあるが,その意味を教えてほしい。

A 「知る」とは文字どおり「知る」ということで,法律上は「悪意」と同義語である。
「知ることができた」といういのは,「過失によって知らなかった」という意味であり,善意とは「知らなかった」という意味である。善意の中には,「過失によって知らなかった場合」もあれば,「過失なくして知らなかった場合」もある。
以上をまとめると,

悪意=知っていたこと
重過失=知らなかったが,重大な過失によって知らなかったこと
悪意又は重過失=知っていたか,知らなかったとしても重大な過失によって知らなかったのだから知っていたのと同じに扱うという意味になること
善意=知らなかったこと
知ることができた=知らなかったが,知らなかったことに過失があるという意味
善意無過失=知らなかったし,知らなかったことに過失はないこと

あてはめ
改正法民法93条(心裡留保)にあてはめると,
(1) 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知っていたとき又は過失によって知らなかったときは、その意思表示は、無効とする。(2) (1)ただし書の規定による意思表示の無効は、その意思表示が表意者の真意ではないことを知らなかった第三者ー仮に知らなかったことに過失があってもーに対抗することができない。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺言執行者制度は機能しているか?⑤ では、判例はどうか?

5 では、遺言執行者相続人代理人説は、判例では認められているのか?(1)相続人の遺言執行者に対する相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?④ 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するか

4 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するのか(1) 遺言執行者は相続人の代理人なのか?遺言...

[ 相続判例法理 ]

民法雑学 不当利得返還請求権の消滅時効は、権利発生の時から、進行が開始する

先日、45年前の子供の取り違えによる債務不履行を原因とした損害賠償請求権の時効は、取り違えを知った時から、消...

[ 民法雑学 ]

遺言執行者制度は機能しているか?③ 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え

3 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え日弁連・懲戒委員会は、(1) 民法1015条が「遺言執行者...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?② 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見

2 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見 日弁連総会は,平成16年、日弁連規則を改正し,平成13年に...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ