コラム

 公開日: 2015-02-27 

民法雑学 弁護士法23条の2の効力①

1,公私の団体する報告を求める権利
弁護士法23条の2第1項は「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。」と定め,第2項は「弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」と規定しています。
 この規定に基づき,弁護士は,弁護士会を通じ,公私の団体に対し,受任事件に関して,必要事項の報告を求めています。この制度は,弁護士にとってはなくてはならない制度です。

2,権利の範囲,特に銀行に対する報告を求める権利について
(1)東京地方裁判所平成24年11月26日判決
同判決は,弁護士が,所属弁護士会を通じて,銀行に対する報告請求権を認めました。その理由は,次のとおりです。

①弁護士会照会制度の趣旨は、・・・弁護士の重大な使命及び職責に鑑み、弁護士の事務の改善進歩を図ること等を目的として・・・弁護士会に対し、報告を求める権限を法律により特に定めたものと解される。
➁・・・照会により必要な事項の報告を求められた公務所又は公私の団体は、照会された事項の報告をすべき公法上の義務を負っていると解される。
③しかし、・・・照会を受けた者が報告をしないことについて正当な理由を有するときは、報告を拒絶することができると解される。
との一般論を述べた後,銀行に対する報告を求める権利について,
④ ・・・決済機能を独占する銀行の公共的責務に鑑みれば、金融機関が守秘義務を負っているということだけで、顧客等の同意がない限り報告を拒む正当な理由があるということは相当でない。
⑤・・報告をすることにより照会を受けた公務所又は公私の団体に重大な不利益を生じない場合には、金融機関が守秘義務を負う事項であっても、当該照会事項について報告義務を負うと解しなければ、弁護士会照会制度を設けた法律の趣旨が没却されることになる。
⑥・・・銀行預金に対する債権執行の申立てを実効的にするためには、あらかじめ債権者が債務者の預金口座のある支店とその預金額を知ることが必要不可欠である。
⑦・・預金の存在する支店及びその預金額、あるいはその預金から第三者への送金状況を知ることにより強制執行が可能な財産の所在が判明する可能性が相当程度にあるものと見込まれ、原告の実効的な権利救済のために報告を求める必要性が極めて高い。
⑧一方、・・・銀行における調査事務の負担は、・・・報告を拒否する正当な理由があるといえるような大きな負担とは到底いえない。・・・原告の権利救済の必要性に照らし、また本件照会事項の内容及び銀行業務の公共性からみて、報告しないことによって保護されるべき正当な理由が銀行にあるとは認められない。
と判示し,銀行の弁護士に対する報告義務を認めましたが・・・・
(これに対し,この事件の控訴審である東京高裁は違った観点から判決をしましたが,これは明日のコラムで紹介します。

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