コラム

 公開日: 2015-02-16 

遺産分割⑪ 債務・遺産管理費用の負担の問題

1,債務
 債務は,各相続人に,相続分に応じた可分債務として,相続されます(最高裁昭和34.6.19判決)ので,遺産分割の対象になるものではありません。
被相続人に1000万円の債務があって,相続人が妻と長男と長女の3人,遺言書がない場合は,妻の相続する債務額は500万円だけです。長男と長女はそれぞれ250万円だけです。自分の相続分を超える債務額を相続することはありません。

2,遺産管理費用
遺産にかかる固定資産税などの公租公課その他の遺産管理費用は,相続開始後生ずるもので,相続債務でもなく,遺産分割の対象にはなりません。この費用は,相続人が,相続分に応じて,分割債務として支払うものになります。

3,相続分の意味
 相続分とは,遺言による指定相続分があればそれ,なければ法定相続分になりますが,債権者は,法定相続分か指定相続分を選択して,相続人に請求することがができます(最高裁判所平成21.3.24判決)。

4,指定相続分の意味
 指定相続分とは,遺言書で指定された相続分のことですが,それには単純に割合でもって指定する場合(例,私は妻の相続分を3/5,長男の相続分を1/5,長女の相続分を1/5と定める。)と,遺産分割方法の指定遺言の場合(例,私は自宅と預貯金全部を妻に相続させ,A社の株式を長男に相続させ,その余の財産を長女に相続させる。)があります(遺産分割方法の指定が同時に相続分の指定になることは,東京高裁昭和45.3.30判決及び平成元.2.27判決)。
 
 前者の場合は,分かりやすいのですが,後者の場合は,各相続人が取得した財産の全相続財産に対する割合が,相続分になります((例についていえば,妻が取得した自宅と預貯金の全財産に対する割合が妻の相続分になり,A社の株式の全相続財産に対する割合が長男の相続分になり,その余の財産の全相続財産に対する割合が長女に相続分になります。)。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法改正が賃貸借契約に与える影響 4 原状回復の内容は具体的に書く

1 原状回復費用には自然損耗分は入らない 改正民法621条は、「賃借人は賃借物を受け取った後にこれに生じた損...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 3 賃料が当然に減額となる場合(改正)

1 民法611条の改正内容改正された民法第611条は、1項で、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 2 賃借人の修繕権(新設)

1 修繕権の創設改正民法607条の2は、「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、その修繕...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 1 賃貸借期間が伸長された

ガソリンスタンドの設置目的などに朗報1 現行法は20年、改正法は50年借地借家法の適用のない賃貸借契...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ