コラム

 公開日: 2014-11-29 

弱者いじめのペナルテイは高い

 誤解があったら,先に詫びておきたい。馬鹿にすんな。俺は弱者じゃあないぞ,という声が聞こえそうだからだ。
 ここでいう弱者とは,労働者のことだ。労働者だから弱者というわけではないが,法律は労働者保護に厚いのは常識。その保護を厚くする理由をたどれば弱者保護というイメージになる。そこでとりあえず,弱者という表現にしたのだ。
 で,我が輩,何が言いたいのかというと,賃金の支払いの遅れに対するペナルテイが高いということだ。

 ひとつは,遅延損害金の割合が高いことで,ふたつめは,付加金が課せられることだ。
 まず,遅延損害金についていうと,遅延損害金は,非営利の法人や団体の従業員の場合は民事法定利率の年5%,株式会社など営利企業の従業員の場合は,商事法定利率の年6%の遅延損害金が,いずれも給与支給日の翌日から起算して付くが,それが従業員が退職した後も未払いが続くと,退職の日の翌日からは,賃金の支払の確保等に関する法律6条1項によって,年14.6%もの高い遅延損害金がつくということだ。ひえ~。たけえな~。そう思うだろう。
 もう一つは,倍額になるまでの付加金が付く場合があることだ。これは労働基準法第114条で定めていることで,裁判になればの話だが,①解雇予告手当(20条),➁休業手当(使用者の責めに帰すべき事由によるもの。26条),③時間外、休日及び深夜の割増賃金(37条)並びに④年次有給休暇中の賃金(39条6項)の支払に遅れがあったときは,未払額と同額までの付加金が課されるということだ。最悪で,倍額払いになるっちゅことだあ。

 ここに教訓がある。
 これらが問題になるのは,多くは,残業手当が支払われない場合だ。その場合,残業したかどうかが争いになることが多いが,裁判所は,形式基準で,残業の有無を判断することが多い。
 要は,タイムカードに打刻された時刻を争うことは難しい。そこで,仕事が終わったのに,電車待ちのため会社に残っているような従業員には,仕事が終わった時点で退勤の打刻をさせることや,カミさんに家にいては邪魔だと言われて早出出勤するような従業員には,就業開始直前までタイムカードの打刻はできないようにしておくことだ。

 因みに,賃金,諸手当の消滅時効期間は2年間,退職金の消滅時効期間は5年間だ。念のため。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺産分割の場合の注意 「課税価格」イコール「相続税評価額」ではないこと

1 遺産の評価問題遺産分割の調停の席で,遺産(相続財産)の評価をどうするかという問題が提起されることがあ...

[ 相続相談 ]

遺留分減殺請求事件と相続税の処理

1 遺留分減殺請求をして,相続財産の一部の返還又は価額弁償金の支払を受けた遺留分権利者甲の場合これによっ...

[ 相続相談 ]

情報公開条例の誤解⑤ コピー代は全額請求するべし

Q 当市の公開条例には,公文書の開示の方法として写し(コピー)を交付する方法を採っており,コピー代として1...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解④ 権利がないことと,権利の乱用は違うこと

Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解③ 助言義務は説明義務に非ず

Q 当市の公開条例には,第3条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有す...

[ 地方行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ