コラム

 公開日: 2014-11-19 

必要は法なき所に法を生む (判例の意義)

  サブタイトル 「宅地並み課税制度の導入が、小作契約に与えた影響」

 市街化区域にある農地が、宅地並みに課税されることになった時、最も困惑したのは、農地を小作に出してたお百姓さんだ。小作料が安いため、固定資産税が小作料より高くなったからだ。俗にいう「逆ざや現象」が起こったのだ。
 建物を建てることのできる借地の場合だと、地代が固定資産税より高いという、アホな話はない。固定資産税は、全額、地代の中に含めることができるからだ。
 だったら、小作契約においても、地主から小作人に、小作料の値上げをすればいいじゃないか、ということになり、小作料の値上げ訴訟を起こした人がいた。 
 しかし、最高裁判所平成13年3月28日判決は、農地に高い宅地並みの税を課すのは、宅地として使える価値があるからだ。でも小作人は、耕作する権利があるだけで建物を建てることは出来ない。だから宅地並み課税の税金分を小作人に転嫁するこたあできねえ。と宣われたのだ。
 その代わり、と、この最高裁判決。地主救済のウルトラCを出した。それは、小作契約の解約をしやすくしたことだ。地主さんから「適正な離作料」を支払うことで,小作契約を解約できると宣われたのである。
 でもその適正な離作料が、農地の時価の4割とか5割というんじゃ、やっぱり地主さんは泣くことになるが、どのくらいの金額なら解約できるの?という疑問が出るはず。
 この最高裁判決は、農地の時価は宅地として使える分高い。しかし、小作人は、宅地として使えない。だから値段の高い農地の価格を基準に離作料を計算する必要はない。と宣われたのである。最高裁は,そこまでしか言わないが,地主には,明るい判決だ。
 で、適正な離作料については、東京地裁平成元年12月22日判決が参考になる。この判決によれば、適正な離作料は、同じ市内の市街化調整区域(市街化区域ではないぞよ。)で同じ面積の農地を買ったとした場合の価格、小作人の農業収入や儲けなどを考慮し、小作人の離作に伴う損失を十分に補償される額であればよい、との見解を示してる。 試みに, インターネットで調べたとき、どこかの弁護士さん、市街化区域で時価1億円はする農地の、小作契約を解約するときの離作料として、100万円程度ですんだ、と書いていた。
小作契約の解約がし易くなった上、離作料も安くなり、小作地の価格の5割とか4割という高額の離作料は支払わなくてよくなったようである。過去の常識は,破れたのだ。

 必要(小作料の逆ざやからの脱皮)は、法(解約を認める法律)なきところに、法(解約を認める判例)を生んだのだ。

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