コラム

 公開日: 2014-10-20 

民法と税法 8 和解金支払時に,源泉徴収義務はあるか?

Q 当社は,残業代の請求をしてきた元従業員との間で,和解金解決金として100万円を支払う裁判上の和解をしました。
①その和解金の支払時に源泉徴収をしなければならないのですか?
➁源泉徴収義務がある場合に,元従業員との間で,元従業員が確定申告をして所得税を納付するという合意を結べば,源泉徴収をしなくともよいのですか?
A 
1,和解により支払う解決金の所得区分は,その名目にかかわらず,実態に即した課税がなされます(東京高裁平成16.5.11判決)。
あなたの会社の場合,支払うことになっている解決金が,
(1)給与・賞与などの性質を有する場合は,本来支給されるべきであった日の給与所得とされます(所得税法28条,所得税法基本通達36―9)ので,その支払いの際,所得税を源泉徴収し,これを翌月10日までに国に納付しなければなりません。残業手当は,給与の含まれますので,源泉徴収義務があります。
(2)和解金の中に遅延損害金が含まれている場合は,遅延損害金は雑所得とされていますので,元従業員には所得税の対象になりますが,貴社には源泉徴収義務はありません。
(3)和解金の中に,付加金(労働基準法114条)が含まれている場合は,付加金は,労働の対価ではないため,給与所得にはならず,一時所得になります。一時所得は,元従業員には所得税の対象になりますが,貴社には源泉徴収義務はありません。

2,源泉徴収義務は,給与の支払義務者の国に対する法律上の義務ですから,給与を受ける者(あなたの場合,和解した元従業員)との間で,源泉徴収をしなという約束をしても無効です

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

7

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
独禁法って何だ?2  証券会社の損失補填事件

4 証券会社の損失補填事件「のう、後藤!独禁法の規定は、不明確な用語が使われていて、意味が分かりにくいと...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

第2章 1遺産分割 2具体的相続分(金額)を決める三つの方法(2)特別受益の持戻し計算型
イメージ

【補説】生前贈与を受けている相続人は、その生前贈与分を、相続の先渡しを受けたものとして、具体的相続分...

[ イラストによる相続法 ]

独禁法って何だ?1 独禁法・公取委・課徴金

1 独禁法「のう、後藤よ!独禁法って何だ?」「独禁法は略称でなあ、正しくは“私的独占の禁止及び公正取引の...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

第2章 1遺産分割 2具体的相続分(金額)を決める三つの方法
イメージ

【補説】単純型というのは、生前贈与も遺贈も寄与分もない場合のことです。単純型は、遺産の額に、法定相...

哲学とは何?

 ここまでに、徳川家康の残した処世訓のこと、法の箴言のこと、を書いてきたが、処世訓も箴言も、実に意味深い言...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ