コラム

2014-10-08

不動産 賃貸物件の買主がする,賃貸借契約の解約通知書の書き方

Q 今般,当社は,借家人のいる建物と敷地を居抜きで買い取りました。賃貸借契約は,期間の定めのない契約になっています。そこで,当社は,借家人に対して賃貸借契約を解約して建物の明渡を求めたいと思いますが,解約通知書の書き方を教えてください。
A 
貴社が,売主から,賃貸不動産を買い受けると,貴社は,賃貸人たる地位を旧所有者から引き継ぐことになります。その建物賃貸借契約の期間は定められていないようで
すので,その場合で,賃貸借契約を解約するときは,下記6つの事項を書面に書いて賃借人に送付することが必要です。

① 旧所有者と賃借人との間で期間の定めのない賃貸借契約を締結したこと(日時も分かれば書く)
② ①の契約に基づき旧所有者が賃借人に建物を引き渡したこと(日時も分かれば書く)
③ 地主と貴社との間で賃貸借契約の目的となっている土地建物について売買契約を締結し,貴社に所有権移転登記手続をしたこと(登記の日時も書く)
④ 貴社から賃借人に対して解約を申し入れること(「本書面で解約の申し入れをします。」と書く)
⑤ 解約の効果は,④の後6か月が経過した時点で生ずること(借地借家法27条1項)
⑥ 解約申入れ時に,借家人に対し,解約を申し入れる正当事由が存在すること及び正当事由を基礎づける事情(借地借家法28条)の詳細を説明すること(後述のように具体的に書く)
です。
 問題は,⑥の「正当の事由」の書き方です。
「正当の事由」は,建物の使用を必要とする事情,建物の賃貸借に関する従前の経過,建物の利用状況,建物の現況,建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに賃借人に対して財産上の給付(いわゆる立退料)の申出をしたこと等を考慮して判断されます。
 裁判例では,賃借人の移転先があること(最高裁昭和25年2月14日判決),賃借人の移転先を提供したこと(最高裁昭和28年10月23日判決),建物の大修繕の必要性(最高裁昭和35年4月26日判決)を考慮したものなどもあります。
正当事由がない場合は,賃貸借契約は解約できませんので,その場合は,立退料の支払いを条件に話し合って合意で解除するほか道はありません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

3

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
金融機関は遺言書とどう向き合うべきか?① 金融機関が考えるべきこと

 預金者が亡くなり,その預金を相続し,又は遺贈を受けたという者が,遺言書を持って,金融機関の窓口に現れた場...

[ 相続相談 ]

モデルルームでの不動産売買契約とクーリングオフ

Q 当社は,某宅建業者がマンションを建築販売する話を聞き,モデルルームを見学に行き,その場で投資用にマンシ...

[ 不動産 ]

開発許可にかかる工事を完成し検査済証を交付された後でも,開発行為取消訴訟は起こしうる(判例)

Q 市街化調整区域で開発許可の要件を欠いた業者が,開発許可を受け開発行為に関する工事を完了し検査済証を交付...

[ 不動産 ]

抗告状に貼付すべき印紙を貼付しなかった場合の瑕疵とその治癒に関する判例紹介

1 問題点①Aが訴訟救助の申立てをした。➁Aの申立ては却下された。③Aは却下決定に対する抗告をしたが,...

[ 民法雑学 ]

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果(判例まとめ)

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果について判示した,4件の最高裁判所第三小法廷平成28年1月12日...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ