コラム

 公開日: 2014-08-06  最終更新日: 2014-08-11

不動産 使用貸借契約で貸した土地は,いつ返してもらえるの?

Q 父の代に,親戚の人に,土地を貸してあげ,親戚の人はそこに木造住宅を建て,住み始め,それから,ちょうど50年になります。貸した方も,借りた方も,代が代わっており,現在は,親戚づきあいもしていません。
いつまで,無償で土地を使わせてあげなければならないのですか?


1,無償で使用させる契約は使用貸借契約
 財産を無償で貸すという契約は,民法593条で,「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」と規定しているとおり,使用貸借契約といいます。

2,契約期間は,借主の死亡時まで
 物を無償で貸すようなことは,通常は,親戚など縁故関係のある人の間でなされるのが一般です。ですから,民法599条は,「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」と定めているのです。
 要するに,使用貸借契約は,貸主と借主の個人的な関係によって結ばれた契約なので,借主が死亡した時は,消滅する,ということになっているのです。

3,ただし,土地の使用貸借の場合は,使用収益をするに足りる時まで。
 民法597条2項は,「当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。」と規定しています。ここから,長期の使用収益を目的として土地を貸した場合は,たんに借主が死亡したという理由だけで,契約が終了したとは考えられていません。使用収益をするに足りる期間が経過した場合でないと契約は終了しないとされているのです。

4,「使用収益をするのに足りるべき期間の経過」は,40年が目安
最高裁判所平成11.2.25判決は,使用収益をするのに足りるべき期間が経過していないと判示した原判決を,使用貸借契約後38年8か月が経過していること,と,貸主と借主の人的つながりが著しく変化していることなどを理由に,破棄しました。また,最高裁判所昭和59.11.22判決は,建物の使用貸借契約が借主の長期間の居住を目的とするものであっても,借主が本件建物の使用を開始してから約40年もの期間が経過したのであれば,特段の事情のない限り,上記使用貸借契約の目的に従った使用収益をするのに足りる期間は経過したと解するのが相当であると判断していますので,建物所有を目的とした使用貸借契約の場合は,長くとも,40年の経過で,一応,終了すると考えてもよいと思われますので,あなたの場合は,使用貸借契約の終了により,土地の返還を請求することは可能ではないかと思われます。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

3

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例

優良誤認表示などの不当表示に、課徴金制度が導入されたのは、改正景品表示法の施行日(平成28年4月1日)から...

[ 会社関係法 ]

民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

景品表示法違反① 合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

店舗外観を不正競争保護の対象にした初裁判

東京地方裁判所平成28年12月19日決定(仮処分決定)は、甲社が直接又はフランチャイズ契約により加盟店に営...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ