コラム

 公開日: 2014-08-06  最終更新日: 2014-08-09

遺言書の書き方  遺留分減殺請求に備えた遺言書

Q 私は全財産を妻に相続させる,という遺言書を書く予定ですが,そうすると,私が亡くなった後,先妻の子から,妻に対し遺留分減殺請求がなされると思います。
その場合,妻と子の関係はどうなるのですか?また,それに備えた遺言書の書き方がありますか?
A 
 遺留分を侵害した場合,遺留分権利者から遺留分減殺請求がなされると,相続財産は全部について,受遺者(「相続させる」と書いた遺言を含む)と遺留分権利者の共有になります(最高裁平成8.1.26判決)。
 共有になると,煩瑣なことが多いので,これを避ける方法の一つに,遺言者は,遺言書で,「遺留分減殺順位の指定」をすることができることになっています(民法1034条ただし書)。

その文例としては,例えば「一 私は全財産を妻に相続させる。二 将来他の相続人から遺留分減殺請求がなされたときは,下記の財産の順番で,遺留分減殺の順位を指定する。」があります。

ただ,遺留分減殺順位をどう決めてよいか分からない場合もあるでしょう。また,遺留分減殺順位の指定は,遺留分減殺請求を受ける受遺者が指定した方がよい場合が多いでしょう。
そのような場合は,遺言文言を,「一 私は全財産を妻に相続させる。二  将来他の相続人から遺留分減殺請求がなされたときは,妻に,遺留分減殺の順位を指定することを委託する。」と書くとよいと思います。

 なお,実は,民法には,「遺留分減殺順位の指定」の遺言ができる規定(民法1034条ただし書)はありますが,「遺留分減殺順位の指定の委託」の遺言ができるという規定はありません。
 しかしながら,民法では「遺贈」の遺言はできる規定はあるものの,「遺贈の委託」ができるという規定はないところ,最高裁平成5.1.19判決は,遺贈を受けることになる受遺者の範囲が限定されている場合は,「遺贈の委託」遺言は有効であると判示しており,また,「遺留分減殺順位の指定の委託」の遺言も,その相手方が限定されるので,可能だと解されます。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺言執行者制度は機能しているか?② 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見

2 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見 日弁連総会は,平成16年、日弁連規則を改正し,平成13年に...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?① 日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観は相続人代理人説

1 日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観は相続人代理人説 日弁連・懲戒委員会は,平成13年,「全遺産を相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者とは何者か?④ 会社の清算を遺言執行者に託した遺言書の例

次の遺言書は,遺言書実務で書かれた遺言書の一つです。遺言書 遺言書 私,凸山太郎は,次のとおり...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者とは何者か?③ 銀行の貸金庫の開披を,遺言執行者に託す遺言事項

被相続人が,銀行との間で,貸金庫賃貸借契約を締結している場合,共同相続人全員又は他の相続人の同意を得た一部...

[ 相続判例法理 ]

ホームページ上での新著公開

相続法理に関する新著を、ホームページ上で、上梓・公開いたします。ダウンロードして、ご覧くだされば幸いです...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ