コラム

 公開日: 2014-08-05  最終更新日: 2014-08-06

民法雑学  農協の理事会での理事と監事の発言の差異

Q 私は,農協の監事をしている者です。私は,理事会には毎回出席し,理事と同じように,組合の業務の執行について意見を述べていますが,何か間違っていますか?

A 
 理事会における理事と監事は,自ずと立場が違います。人は,立場で発言することになりますので,監事が,理事と同じように,業務執行を決するための発言をすることは,監事の発言の範囲を超えていると言えます。

 理事は,理事会の構成員です。
 理事会は、組合の業務執行を決する機関です(農業協同組合法30条の5第3項)ので,理事が業務執行に関する意見を述べることは当然です。
 しかし,監事は,理事ではありません。制度上も,監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならないことになっています(同法30条の5第3項)。
 監事は,理事の職務の執行を監査する機関です(同法35条の5第1項)ので,理事会では,業務執行を決するための意見は言えず,監査者として,「理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき」(同法35条の5第3項)か,そのおそれが感じられるときに,注意を促す発言をすることになります。

 例えば,融資案件に関して,特定の組合員に融資をするかどうか,融資をするとした場合,金額その他の融資条件をどう決めるか,が議題になっているとき,監事は,融資すべきであるとか,I利息や返済期間などはこうすべきであるとかの,融資の内容を決する意見は述べ得ず,ただ,その融資が,定款その他組合の規則に定めた条件に違反している疑いがあると判断するときにのみ,注意を促す程度になるでしょう。

 前のコラムで触れましたが,理事の意見は,議事録に記載することまで要求されていないのに,監事の意見は,議事録に記載すべきことになっているのです。
 監事の意見の重要性と,監事と理事は,違う立場から意見をいうべきであるが,この一事からも分かると思われます。

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