コラム

 公開日: 2014-08-02 

遺言書を書かない場合の遺言書の書き方①  持戻し免除の意思表示

Q 私は,私の財産を妻や子にどのように分けてよいのか決断できません。私の財産は,妻や子が話し合って分けてくれればよいと考えています。
しかし,私の死後,妻や子の間で,万一にも,紛争を起こさせたくはありません。
このような思いを叶える遺言書ってあるのでしょうか?

A 持戻し免除の意思を表示した遺言を書いておくべきです。

理由

1,生前贈与をめぐる紛糾が多いこと
 遺言書がない場合は,相続人全員で,遺産分割をすることになりますが,生前贈与を受けた相続人の取り分は,生前贈与分だけ少なくなります。
 そのため,相続人が生前贈与を受けているのか,受けている場合はいくら受けたのかが重要な問題になりますが,過去に贈与があったかなかったかについては,立証が難しく,ひとたびその問題で紛糾すると,感情的な対立に発展し,人間関係を壊してしまう場合があります。
 兄妹の間で,「お兄ちゃんはお父さんから500万円をもらったはずなのに,証拠がないことをいいことにして,もらっていないと嘘をついている。」とか,「妹はお父さんから300万円をもらっているのに,100万円しかもらっていないと嘘をついている。妹が本当のことを言わないと,遺産分割の際の具体的相続分が確定できないので遺産分割はできない。」などの紛争は数多くあるのです。

 そこで,生前贈与については,遺産分割の際考慮しなくてもよいという遺言書を書いておくのです。
 そうすると,誰がいつ何をもらったかの詮索はされないですみ,上述のような疑心暗鬼から来るトラブルは避けることができます。

2,遺言文例
「一 私が,生前,妻や子に贈与した財産又は妻や子の名義にしている財産は,それぞれ贈与を受けた者又は名義人に与えた財産であり,遺産分割の際,その財産については,持戻しを免除する。
 二 相続人らは,私が亡くなった時に残った財産についてのみ,仲良く,法定相続分に従って,遺産分割をすること。」

3,持戻し免状の意思表示は,遺言書でなくともよい
 なお,生前贈与につき,持戻しを免除する意思表示は,遺贈(相続分の指定や遺産分割方法の指定を含む)の持戻し免除とは違って,必ずしも遺言書で書かなければならないというものではありませんので,日記に書き残しておくこと,手紙やメールで相続人に伝えておくことでも,かまいません。
 一方,遺贈の持戻し免除は,財産を与える行為が,遺言書に書くことですから,持戻し免除の意思表示も,遺言書に書かなければ効果はない,とされています。

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