コラム

 公開日: 2014-07-01 

不動産 原状回復と,明渡との関係

Q 私は店舗の賃借人でした。
 本年3月末に賃貸借の期間が満了したので,同日賃貸人に建物を明け渡し鍵も返しました。
しかし,私は,賃貸借契約書で約束していた原状回復を十分にはしませんでした。
賃貸人は,原状回復を完全にするまでは建物を明け渡したことにならないという理由で,その本年4月1日から原状回復工事を完了する日までの賃料(相当損害金)の請求をすると言ってきました。
私は,原状回復工事に必要な費用は当然支払うつもりですが,賃料相当損害金まで支払う義務はあるのですか?

A ありません。
東京地裁平成18年12月28日判決(判例秘書06135386)は,「一般に,賃貸借契約における賃借人の目的物返還義務としての不動産の明渡しとは,当該不動産の占有者が立ち退くとともに,不動産内にあった動産を取り除いて賃貸人に直接的な支配を移すことであると解される」とされ,明渡し時点で,天井ないし床に固定されたパーテーションや壁ないし床に固定された書棚が残置していたとしても,「本件不動産から退去し,内部にあった動産を取り除き,原告に本件不動産の鍵を返還したと認められるから,同日をもって本件不動産を明け渡したと認めるのが相当である」と判示しているところです。
さらに,東京地裁平成21年1月16日判決(LEX/DB25462680)は,「一般に,建物賃貸借契約において,当該契約終了に基づく建物返還後,少なくとも通常想定しうる範囲の原状回復工事に必要な相当期間については,特段の合意のない限り,賃借人に賃料等を負担させないものとするのが通例である」と判示しているところです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

3

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
情報公開条例の誤解⑤ コピー代は全額請求するべし

Q 当市の公開条例には,公文書の開示の方法として写し(コピー)を交付する方法を採っており,コピー代として1...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解④ 権利がないことと,権利の乱用は違うこと

Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解③ 助言義務は説明義務に非ず

Q 当市の公開条例には,第3条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有す...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解➁ 知る権利は,法と条例の制限内の権利なり

Q 情報の開示を請求した住民に,公文書のコピーを交付した後,当該住民から,住民には“知る権利”があるのだから...

[ 契約書 ]

情報公開条例の誤解① 説明義務はない

Q 私はA市の情報公開担当課の者ですが,次のような請求に困っています。アドバイスを御願いいたします。1...

[ 地方行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ