コラム

 公開日: 2014-06-07 

孫子に学ぶ⑥ 人間行動の法則化

1,人の行動の法則化
 軍扇をもって,自軍の兵を,手足のごとく動かす,ことは,統制が効き,訓
練のできた兵をもっている将には,たやすいことでしょう。
 しかしながら,掌(たなごころ)の上で,意のままに物を動かすほどに,敵
兵を,動かすことは,並の将にはできるものではないと思われます。
 それが,兵略家といわれる特殊の才能を持った者には,できるのです。
 孫子しかり。諸葛孔明しかり。孫子の子孫の孫ぴんしかりです。
 孫ぴんには,面白い話があります。
 魏と斉が戦ったとき,斉の軍師孫ぴんは,魏軍から追撃されている風を装っ
て,魏軍から離れていくのですが,自軍の兵士の食事をつくる竈(かまど)の
数を,日ごとに,わざと減らしていくのです。
 追撃している(と思っている)魏軍は,斉兵の竈の数の減り方から斉の兵が
減っている,すなわち斉軍が算を乱して逃げに入ったと錯覚し,竈の数が当初
の数の数分の1までに減ったとき,自軍の中から精兵を選抜して,一気呵成の追
撃に入るのです。
 そして,孫ぴんが設けた罠に陥り,壊滅させられたのです。
 これは,敵の将が,竈の数の減り方を見て,考え,行動するであろう,先の
先の事象を読み切った,孫ぴんの読み勝ちというべきでしょうが,このような
人間行動を,法則としているところが,兵略家のすごさでしょう。

2,人間行動の,次を,読み解く能力
 現代人も,勝敗や生き残りをかけて,戦っているのです。そして,その相手
が,多くの場合,人であることを考えると,人の行動を法則化できれば,強力
な武器を持つに等しいことになるでしょう。
 しかしながら,凡人の目に理解できるほどの,人間行動の法則化は,千差万別の人という生き物を,1つ目の軸の中で分け,無限に生起する社会事象もまた,2つ目の軸の中で分け,人の次の行動を予見したい局面を,3つ目の軸の中で分け,これら3つの軸が立体的に交差するところに,予見できる人間行動の結果を細かく書き込むほどの努力をしても,なお,できないだろうと思われますが,ただ,人間行動を法則として把握することは不可能でも,人間行動の予見の確率を上げることは,可能であろうと思います。
 そのためには何をすべき?は,凡愚の智恵では,語り得ませんが,それでも,歴史に,孫子がおり,諸葛亮孔明がいたのは,厳たる事実なので,彼らには,遠く及ばなくとも,この人間行動を予見できる眼力,すなわち人間行動の次を読み解く能力は,学び得たいものと思います。

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