コラム

 公開日: 2014-06-04  最終更新日: 2014-06-05

孫子に学ぶ③ 戦いの形は六如にあり

1,六如
孫子は,戦いには形が重要であると説いています。
曰く。

其疾如風、
其徐如林、
侵掠如火、
難知如陰、
不動如山、
動如雷霆
読みは,
故に其の疾(と)きこと風の如く、
其の徐(しず)かなること林の如く、
侵掠(しんりゃく)すること火の如く、
知りがたきこと陰の如く、
動かざること山の如く、
動くこと雷霆(らいてい)の如し,
です。

2,風林火山
孫子の信奉者,我が国は戦国時代の英傑,武田信玄は,このうち,
其疾如風其徐如林
侵掠如火不動如山
を,自軍の軍旗に掲げました。
いわゆる孫子四如の旗です。
また
「風林火山」も旗にしました。
 

3,疾きこと風の如し
 孫子六如を,武田信玄軍の形に探せば,
「其疾如風」は,武田の赤備えに見られます。
武器や鎧甲はいうまでもなく,馬鎧まで,赤一色にし,馬上長槍をかっこみ,密集した軍馬が一体となって,敵陣を襲うのです。目にも鮮やかな赤い旋風が,敵陣を破砕していくのです。
 この赤備えは,武田軍滅亡後は,徳川家康が,他の軍法や武将等とともに,引き継ぎます。そして,その名誉の赤備えは,幕末に大老井伊直弼を生んだ井伊家にまかせます。そして,それ以後,井伊家の赤備えは,戦場に赫々たる武勲をあげていくのです。

4,徐かなること林の如し
「其徐如林」とは,自軍を不敗の地において,あるいは,万全の備えをしておいて,敵軍の陣形の乱れを,あるいは隙を,見る静けさをいうのです。猛禽が獲物を狙う目で,静かに時を待つのです。
これを武田軍に探せば,三方ケ原の戦いの前夜の様子でしょうか。
武田軍は,浜松城に籠もる徳川家康を攻めず,その北を,静かに西へ進みます。猛禽の目をもって,浜松城から出撃してくるかもしれない徳川家康軍を,静かに,見守る図です。
やがて,徳川家康は,静かなる林に誘い込まれるようにして軍を進め,一敗地に塗(まみ)れるのです。

5,侵掠すること火の如し
「侵掠如火」とは,ひとたび侵略するや,燎原の火さながら,あたりを一木一草なきほどに徹底して破壊するというイメージになるでしょう。

6,知りがたきこと陰の如し
「難知如陰」は,敵に自軍の姿を見せないということです。現代風にいえば,情報管理が徹底しているということでしょう。
これも武田軍に探せば,信玄生前の影武者の活用や,死後の死を秘したること三年にも現れているといえましょう。
戦術的にも,情報の秘匿は,敵に自軍の姿を見せないので,「我は専にして一となり、敵は分かれて十となる」結果になり,敵を攻撃しやすくなります。

7,動かざること山の如し
「不動如山」とは,圧倒的な存在感を見せつけて,敵に戦意を放棄させて勝つ道を探せというのでしょう。
孫子は,「百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」というほどですから,戦わずして勝つことが重要だと説いているのです。
 

8,動くこと雷霆の如し
雷霆とは,激しい雷のことです。動くとき,すなわち戦うときは,敵陣に激しい雷が落ちたのと同じような打撃を与える圧倒的な強さを持てということでしょう。
これも武田軍に探せば,三方ケ原の戦いで見せた武田軍の圧倒的な強さでしょう。
徳川家康が,陣を乱され,ただ逃げるに必死になり,恐怖のため,馬上に脱糞するほどであったというほどの強さが,これにあたるといえましょう。

9.敗北は人を強くする
武田軍の,三方ケ原で見せた圧倒的な強さは,徳川家康を大きく育てたといわれています。若き日の家康に,このときの経験がなかったなら,徳川三百年の礎は築けなかったであろうとまでいわれたものです。
負けて強くなる。
現在でも,多くの人が経験していることです。
私たちは,歴史より学ぶことは実に多いのです。

10,勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め,敗兵は先ず戦いてしかる後に勝ちを求む
 これも孫子の言葉です。
 戦いの六如の形を会得すれば,戦う前に勝兵になっているということですが,
 さて,さて,企業経営者にとっての六如とは?
 弁護士にとっての六如とは?

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