コラム

 公開日: 2010-10-18 

税法 2 ゴルフ会員権名義書換料事件


最高裁判所平成平成17.2.1判決事件をご紹介します。
事案の内容
Aの父は代金1200万円を支払って,ゴルフクラブの会員権を取得し,ゴルフクラブの正会員となった後、ゴルフ会員権をAに贈与し、Aは、ゴルフ経営会社に対し,名義書換手数料82万4000円を支払い、ゴルフクラブの正会員となりました。その後、Aは,ゴルフ会員権を100万円で売り、その年分の所得税の申告をすることになったとき、ゴルフ会員権の譲渡に係る所得金額の計算において,父が支払った代金1200万円及びAが支払った名義書換手数料82万4000円の合計1282万4000円を資産の取得費として,売却代金100万円を総収入金額として,それぞれ計上し,その差額の1182万4000円を総合課税の対象となる所得税法33条3項2号所定のいわゆる長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額として、申告し、他の所得と合算して、総所得金額を3296万9202円とする申告をしました。これに対し税務署長は、本件譲渡所得金額の計算において本件手数料82万4000円を資産の取得費として認めることはできず,上記損失の金額は1100万円になるとして,Aに対し,その年分の所得税について総所得金額を3379万3202円とする更正及び過少申告加算税の賦課決定をしたのです。

なお、資産の贈与を受けた者がその資産を譲渡した場合の譲渡所得の計算においては、取得費は、贈与をした者の取得費を引き継ぐことになっていますので(所得税法60条1項)、Aが100万円で売却したゴルフ会員権の取得費が、少なくとも、Aの父が購入したときの金額1200万円であることは争いがありません。争いになったのは、Aが父から贈与を受けたときに支払った名義書換料も、取得費に計上できるかということでした。


最高裁判所平成17.2.1判決は、「資産の取得に要した金額」は、当該資産の客観的価格を構成すべき取得代金の額のほか,当該資産を取得するための付随費用の額も含まれると解される、として、Aの税務申告を正しいものとしたのです。

この判決の後、国税庁は、全国に通知を発し、従来の税務の扱いを変えた外、還付を求めてきた納税者には過去5年分の還付をしております。
5年以上前の分については、これは納税者自身が、国に対し当事者訴訟を起こせば、返還を受けることが可能になるはずです。その理は、本コラム「行政13」で解説しているところです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
新著の上梓予告

今週の月曜日から金曜日までの、私のマイベストプロのサイトを訪問してくださった人の数は、連日、2000名を超...

[ 相続判例法理 ]

損害の発生後45年が経過して行使された損害賠償請求権が,消滅時効にかかっていないとされた裁判例

 45年前,新生児が誕生しましたが,母親の退院時,病院のミスで,新生児が取り替えられるという事故がありまし...

[ 民法雑学 ]

宅地建物取引業者の税金についての説明義務

 宅地の売買などをしますと,不動産譲渡所得課税問題が生じますが,その売買契約を仲介した宅地建物取引業者に,...

[ 不動産 ]

遺産分割に関する最高裁判決まとめ

・預貯金債権は,可分債権ではないので,遺産分割対象の財産になる(平成28年12月19日最高裁判所大法廷決...

[ 相続判例法理 ]

遺産から生ずる果実は,全相続人のもの

最高裁判所第一小法廷平成17年9月8日判決遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ