コラム

2014-04-14

弁護士と格言 常識の非常識

1,常識の意味
 常識とは,根拠を明らかにしないでも,真実であることに疑いを差し挟む余地がないほど自明の事実,といってよいでしょう。

2,常識に潜む危険
 常識と思う事実は,それが真実であるかどうかについて,疑問を持たない,という危険があります。
 科学的に,論理的にそれが真実ではないことが示されても,科学的,論理的な説明を受け入れようとはしないリスクです。
 いわば,天動説が常識であった時代に,科学的,論理的に地動説を説く者がいても,天動説に疑問を持たないのと同じようにです。
 要は,知恵の働きを封印してしまう危険があるのです。

3,法の世界における常識の危険
 法の常識というものもあります。
 法の常識は,いちいち法令や判例を目に見せなくとも,それは当然のこととして語られます。
 しかしながら,法も時代と共に変わります。
 法が変わらない場合でも解釈が変わることは多々あります。
 これらの変化が,一見明確な場合は,法や解釈の変化について行け,法の常識も変わりますが,法や解釈が変わったことが一見明らかとはいえないときは,常識は容易に変わるものではありません。
 それと,法の誤解から,間違った法の常識を持つ人もいます。
 法に携わる人の世界では,意外に,常識にしてはならない常識が存在しているのです。

4,常識の非常識
 常識が間違っていることの,科学的,論理的な根拠が示されているのに,知恵の働きを封印して,常識に反する意見を,常識に反するというだけの理由で,百パーセント否定する人がいます。年齢に関係なくです。
 これなど,常識の非常識というべきでしょう。

5,謙虚さと,知識欲は,大切にしたいもの
 頑迷固陋であることは,人の成長を阻害します。
 常識が常識である結果になってもよいのです。
 常識に挑戦する知恵や意欲は大切にしたいものです。
 大げさに言えば,文明の勃興,文化の開花と発展,技術の進歩と人智の飛躍,これらは,すべて,既成の常識の枠を破る,知恵の奔騰に由来するものではないか,と思います。

6,当事務所の心得
 当事務所では,若い弁護士に,常識をたないことを求めています。
 常識を持つと,知恵を使わなくなるからです。
 常識で判断せず,常に,判例と文献を,相談者や依頼人の目に示しながら,回答をなし,事務を処理すること,しかも,24時間以内に成果物を提供すること,を,やかましく,求めているのです。
 その結果,常識と思っていたことが常識ではないことを知ることがあり,新しい知識を確保し,新しい知恵の働きを得ることも,多々あるのです。

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弁護士 菊池捷男

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